ニッケイ新聞 2011年8月20日付け
アパレシーダの聖母像発見でも知られるパライバ・ド・スル川が蘇り始めた。水中に溶けている溶存酸素量は2年間で10倍に増え、食用不可といわれてきた魚も食卓に戻っていると18日付エスタード紙が報じている。
パライバ・ド・スル川は、サンパウロ、ミナス・ジェライス、リオデジャネイロの3州を流れる川で、汚染拡大が続いた約20年間、流域に住む人々の生活に深刻な影響を与えていた。
しかし、2010年に従来は垂れ流しだった各種の廃水を100%処理するプロジェクトが開始され、その成果が現れ始めている。
同プロジェクト導入前のパライバ川は、水生生物や人に遺伝子損傷やガンを引き起こす危険性があるといわれるほど汚染されて悪臭が漂い、魚も獲れなくなっていたが、今では魚が再び網にかかるようになり、釣りを楽しむ人も増えてきた。
Cetesp(サンパウロ州環境浄化技術公社)によると、サンパウロ市から80キロのサンジョゼ・ドス・カンポス付近での溶存酸素量は5・2ミリグラム/リットルになり、2009年の0・5ミリグラム/Lから大幅に改善した。魚が生きていくのに必要なのは5・0ミリグラム/L。
パライバ・ド・スル川の浄化プロジェクトは、Sabesp(サンパウロ州水道局)と州政府、周辺自治体の協力のもとで行われている。2010年3月にはタウバテ市とトレメンベ市から排出される下水の浄水場が建設され、両市の下水は100%処理されている。
Sabespによると同プロジェクトには既に1億7千万レアルが投資されており、2014年までに100%の汚染浄化と下水処理を実現するため、さらに5億レアルが投じられる予定だ。