5年ごとに母県で開催される世界の沖縄県系最大の祭典「第5回世界のウチナーンチュ大会」へのブラジルからの参加者が、過去最多の1千人超となることがニッケイ新聞の取材で明らかになった。レアル高による旅費の目減りや再訪問者増加、若年層の関心の高まりなどが要因となっているようだ。8月28日に上原良幸副知事はじめ県職員4人を迎え沖縄県人会館で開催された説明会でも約100人が参加するなど、大会への関心の高さを窺わせた。
10月12日の前夜祭パレードに始まり、16日まで行われる同大会には各種スポーツ大会、エイサー大会などの連携イベントも合わせ延べ50万人が訪れる。
当地からは第1回大会に788人が参加したのが過去最多で、前回は480人だった。東日本大震災後は一部キャンセルが出るなど、申し込み数は鈍化したものの、その後順調に伸びた。
今回沖縄へのツアーを取り扱う旅行社4社の1つインテルバン旅行社の仲宗根勝社長は、「ブラジル景気好調とレアル高、再訪問組増加などが原因では」と分析する。
日伯を繋ぐJALの直行便が無くなったものの、レアル高の影響で経由地での旅行を組み込んだツアープランでもほぼ価格が変わらない。「中国、カナダ、ドバイが多く、パックツアー自体の魅力も高まっているのでは」という。「前回大会後、『次も必ず行きたい』と満足の声が多く、各旅行社は昨年末から広告を打ち始めました」。
説明会に参加していた大城健治さん(59、糸満市)は今回で連続3回目となる。前回は一人で参加したが、今年は二世の従弟と自社の社員3人で訪沖する。「大会の盛り上がりを知ってほしくて2月に申込みました。故郷を知らない従弟と親戚まわりをしたい。きっと毎晩誰かに引っぱられて飲みに行くでしょうね」と笑みをこぼす。
前回に比べ、沖縄の伝統芸能普及、県費留学生のOBの再訪沖などで二世、三世、非日系の参加者が増加している。
今年初めて開催される世界エイサー大会には、当地からレキオス芸能同好会18人が参加。同会の大嶺初枝教師は、「最初から、生徒達が本場沖縄のグループと共演するのが夢だった。言葉の不安はあるが若い人同士で交流してほしい」と期待を込める。
県費留学生OBからなるうりずん会からも複数参加する。07年に留学した仲本ルイザさん(25、三世)は大会初参加。「親戚や留学で知り合った友人と会うのが今から楽しみ」と話す。
日本語が苦手な三世、四世のため県人会では1年半前に日本語教室を開講。与那覇朝昭(ともあき)事務局長は、「三世、四世の希望者が増えましてね。皆さん大会に参加することを目標に勉強に励んでいます」と教室の様子を話す。
沖縄県の熱心な宣伝も参加者増加の一因だ。4月から在那覇ブラジル名誉領事の西原篤一氏が来伯、各地のイベントでPR活動を行っていた。28日の説明会では前回大会のハイライト映像をポ語で上映し、質疑応答では質問が続出するなど熱心な姿が見られた。
上原副知事自身も「我々ウチナーンチュは時間と空間を超えてつながっている。この大会は未来を担う子供達にウチナーの心を受け継いでいく大切なイベント」と呼びかけていた。県系人の絆が深まった成果が結実しつつあるようだ。