ニッケイ新聞 2011年9月3日付け
地理統計院(IBGE)が2日、第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比0・8%、前年同期比では3・1%の成長だったと発表した。経済成長は第1四半期の前期比1・2%増と比べ減速しており、伸び率は5四半期連続で縮小した。
第2四半期のGDP成長が前期比0・8%という報告は8月17日に中銀が出した0・69%という予測よりましだが、今年の成長4%、来年は5%の線で作業中の政府には有難くない数字だ。
というのも、2010年第3四半期以降、前期比0・4%、0・7%、1・2%と続いた成長基調が崩れ、経済が減速化し始めた事が数字にも明確に表れたため。
経済の減速化は前年同期比の成長率で見た方が明らかで、昨年の第3四半期が前年同期比6・7%増だった後は、5・0%、4・2%、3・1%と順次縮小。
今年の第2四半期の場合、直前の3四半期も合わせた12カ月間の成長率は4・7%で、政府が適切成長率とみなす4〜6%の範囲内だが、第2四半期そのものの成長を年率に換算すると、3・2%程度となる。
第2四半期の成長を分野別に見ると、サービスが前期比0・8%(前年同期比3・4%、以下同じ)の伸びを記録した以外は、鉱工業が0・2%(1・7%)、農業はマイナス0・1%(0%)とふるわない。
第1四半期の2・2%から0・2%と大幅な減速を記録した鉱工業の場合、鉱業は2・2%伸びたが、自動車や電子機器などの製造業は横ばい。在庫が適正量を超え、集団休暇をとる業界も出ている。持ち家ブームで好調と見られていた建設業も0・5%増だった。
サービス業は減速の兆候もなく、情報通信1・9%(5・5%)、商業1・1%(4・9%)、金融・保険1・6%(4・5%)となっており、運輸・保管・郵便業務も前年同期比3・5%増を記録している。
需要別では、設備投資に引っ張られた固定資産投資が前期比1・7%増え、個人消費や政府支出も各1%拡大。貿易は、前期比2・3%増だった輸出に比べ、輸入が6・1%増となり、成長押し下げの要因となった。
輸出より輸入が増える傾向は、為替の不均衡と国内消費の過熱が続いている証拠で、製造業の落ち込みは輸入製品が補っている事を表す。
雇用創出速度は落ちたが所得は拡大し続けており、来年の最低賃金も14%弱の高率調整が見込まれる中で行われた政策基本金利引下げは、国外の経済不安の影響とGDPの成長低下を見込んだ決断だが、金利引下げで融資利用などが増え、現在も冷え込んではいない消費の拡大を招けば、成長頭打ちの中でインフレ圧力上昇という最悪のシナリオとなりかねない。
来年の給与調整はなしと聞いた裁判官らが不平を唱え、予算案見直しを迫られる政府など、舵取りの難しい状況が続く。