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珍しい日系日帰り養護施設=クリチーバ=長崎純心聖母会が運営=「1週間で表情変った」

ニッケイ新聞 2011年9月3日付け

 パラナ州都クリチーバ市にある、今年31年目を迎える長崎純心聖母会ブラジル支部では08年から、当地ではまだ珍しい高齢者の日帰り養護施設デイ・ケア・センターを運営しており、地元医療関係者から高い評価をえているという。クリチーバでもこの種の施設はまだ3カ所しかないという。当地では先進的なこの取り組みについて取材してみた。

 「日曜日に電話してきて『今日はないのか』とか、雨の日も風の日も楽しみにしていると言ってくれる人もいます。90いくつのおじいちゃんが『仕事をしにきたよ』っていうんですよ」。匿名を条件に取材に応じた日本人修道女は、高齢者が生き甲斐を感じている様を、そう嬉しそうに報告する。
 05年に同聖母会ブラジル支所25周年があったとき、このセンターを作る構想が始まった。日本からは建築費用として1億円の援助があったという。
 センターを開設したのは08年3月で、以来毎日25人ほどの70〜90歳代の高齢者を、日系非日系関係なく、宗教を問わず受け入れている。1日30レアルで土日は休み。週1回昼食に味噌汁を出している。日系人を中心にブラジル人はもちろん、オランダ移民高齢者も通ってきている。
 3千平米もある二階建ての建物で、図書館、会議室、休憩室も完備しており、同会の修道女はもちろん、物理療法やリハビリのボランティア4人も活動に参加している。ここで高齢者は日記を書いたり、碁、将棋、数独、体操、ダンス、集団活動、合唱などを行っている。
 「ここに来たばかりの時はウツの症状の人がかなりいます。ここに置いていかれるという恐怖心もあるようです。最初は顔を下げて人と目を合わせなかったような人に、だんだん笑顔が戻っていくんです。家族からは『1週間でおかあさんの表情が変った』と言われ、こっちの方があり難いと思ったことがあります」。
 クリチーバの日系団体も慈善夕食会などを催して寄付金を集めて協力をしており、「どこにも宣伝広報していないのに本当にありがたいです」と感謝する。
 同聖母会は80年10月から、パラナ州サンジェロニモ診療所の救ライ事業とアモレイラ子供の家の託児所で修道女の奉仕活動を始めた。現在は活動も広がり日本からの修道女7人を含め、現地日系人、ブラジル人を合わせて14人のシスターが日本語学校・診療所・託児所・老人ホームなどを運営している。【Centro Dia para Idosos】電話=41・3235・5557、lar.junshin@gmail.com