ニッケイ新聞 2011年9月7日付け
リオ市北部アレモン地区のファヴェーラでは、住民と平和維持部隊の軍人との間で起きた4日夜の混乱が原因で、軍隊を追い出し、平和駐留部隊(UPP)の設置を要求する声が強まっていると5日、6日付エスタード紙などが報じている。
4日の混乱は、バールのテレビでサッカーの試合を観戦していた住民が近くにいた10人ほどの軍人に暴言を吐いたことが発端だ。「逮捕する」の声に反発した住民らが投石などを始め、軍人らは催涙ガスやゴム弾で応戦。衝突は次第に大きくなり、最終的に住民20人と軍人80人が参加、軍人2人を含む12人が負傷した。
軍と連邦検事は5日、今回の事件の調査を開始しており、住民1人の逮捕に必要以上の軍人が参加していなかったのかを追求している。
同日は、地域住民による軍隊追放とUPPの設置を要求する抗議も行われたが、住民の話から、抗議後に軍人が関与した別の衝突が起きたことが明らかになった。
目撃者証言によると、混乱は4日の事件と同じバールを中心に起きた。抗議行動終了後の午後10時頃、軍人らがバールのある道の電気を落として踏み込み、テレビのインタビューに答えた住民を片っ端から探していたという。
「すごい数の発砲や爆発だった。道の両側を閉鎖し、逃げ道を失ったところを緑のライトがついた銃で追いかけていた」と住民が述べている。
同地区は麻薬密売者が戻ってきた兆候があり、ガスの違法販売の取締りが行われた後であったことも混乱の遠因となったと見られている。
また、同市西部のファヴェーラ、シダーデ・デ・デウスで5日未明、バイレ・ファンクから出てきた約2千人の一部がUPPを囲み、建物に石や瓶を投げつけるという事件が起き、軍警と住民各1人が負傷している。
警察によると、3日深夜には、ジスケ・デヌンシア(犯罪告発ダイヤル)への通報により、UPP襲撃に使われるはずだった手製手榴弾五つが押収されたという。
警察は、アレモンのファヴェーラとシダーデ・デ・デウスで発生した事件には関連性はないと報告している。