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独立記念日に反汚職デモ=大統領の列とは接触せず=全国各地でも抗議行動展開=ネットが青年らを動かす

ニッケイ新聞 2011年9月9日付け

 ジウマ大統領が独立記念日の公式行事に大統領として初参加の7日、ブラジリアなどで反汚職デモが繰り広げられたと8日付伯字紙が報じた。インターネットを通じて企画された若者中心の抗議行動は、政治に直接的な関心を示してこなかった層までを揺り動かす新たな社会改革への波と見られているようだ。

 7日付フォーリャ紙が19州約50市で反汚職デモと報じた時点の参加予定者13万人の記述からすれば規模は縮小したが、ブラジリアでのデモなどで一般市民が政界浄化の叫びを上げた事は、国民が汚職や不正に敏感になっている証拠だ。
 娘や孫も参列した就任後初の独立記念日の式典はジウマ大統領にも特別な意味があったはずだが、ネット上のソーシャルネットワークを使って企画されたデモは、オープンカーに乗った大統領の列と中央分離帯を隔てた場所で行われた。
 現政権初の独立記念の公式パレードは、緊縮財政で予算縮小とはいえ、閣僚32人も参加して行われたが、通りの反対側を黒い服にピエロの赤鼻をつけた人々が「汚職追放」「真に豊かな国は汚職がない国」などと書いた横断幕やプラカードを掲げて練り歩くさまは、人目をひいた。
 ブラジリアの場合、国立博物館前に集まったのは約2千人だったが、公式パレードを見に来た人も加わり、国会前に着いた時は、1万2千人とも2万5千人ともいわれる数に膨れ上がった。
 参加者は政党色を出さないのが原則だったが、要求は多岐に渡り、大金受領場面がビデオで公開されたジャケリネ・ロリス下議が先週の下院本会議で議員権剥奪を免れた事やそれを可能とした無記名投票制、現政権で表面化した汚職、上院議長に居座り続けるジョゼ・サルネイ氏、有罪判決を受けた政治家の選挙戦出馬を規制するフィッシャ・リンパ法をないがしろにしようとする動き、果てはブラジルサッカー連盟のリカルド・テイシェラ会長に至るまでが批判の対象とされた。
 大統領の汚職追放への姿勢には労働者党内からも批判が出、農務省絡みの汚職摘発以降は閣僚温存の上、報道機関への批判が噴出した事は伯字紙が逐一報じている。汚職追放が〃FAXINA〃の言葉と共に国民から歓迎されていた事は、バケツや箒を持った一群の学生がデモに参加し、農務省の建物を掃除した事などからも窺われる。
 フェイスブックやオルクッチを通して始まったデモ決行の動きは、ロリス下議の議員権剥奪回避後に高まり、17日にも別の抗議行動を計画。
 サンパウロ市やリオ市、パラナ州クリチバ市、南大河州ポルト・アレグレ市などでも小規模ながら反汚職デモが行われ、サンパウロ市では10月12日の再会を約束。大統領直接選挙を求めた時など、歴史の節目で起きた市民運動の高まりと他国での政変、今回のデモを結びつけて考える識者達もいるようだ。