ニッケイ新聞 2011年9月10日付け
国内鉄鋼大手のナショナル製鉄(CSN)が、新日本製鉄傘下のブラジル鉄鋼メーカー、ウジミナスに対して同社の発行済み株式の26%の買取りを提案したことが明らかになったと8、9日付エスタード紙が報じている。
およそ1年にわたってウジミナスへの包囲網を築いてきたCSNの経営者ベンジャミン・スタインブルック氏が、いよいよ最後の賭けに出た。
同氏が提案しているのは、国内建設大手のカマルゴ・コレアとセメント大手のボトランチンが持つウジミナスへの出資分株式26%の買取りで、今のところ回答を得られていない。しかし、買い取りが成立すればCSNが既に持っている株式と合わせ、新日鉄を抜いて筆頭株主となる。
ウジミナス社に近い情報源によると、今回の提案の話はしばらく前から出ていた。しかし、カマルゴ、ボトランチン両社はまだ態度を決めていない。提案は一株あたり33〜39レアルで、総額43〜51億レアルの買い物だ。ウジミナスの普通株は8日、前営業日比1・75レアル(7・99%)高の23・65レアルで終了した。
ウジミナスの株27・8%を保有する新日鉄は数カ月前にもCSNからの会見要求を拒否しており、ウジミナスの共同経営者としてベンジャミン氏を迎える考えに批判的な態度を示している。
新日鉄はすでに、資源会社のナミザと提携を組んだことによって問題を抱えており、株式の売却先として、アソミナスの経営権を持つゲルダウ・グループとの接触を開始していた。
ウジミナスの株を巡る交渉は、非常に複雑な事情を抱えている。たとえ新日鉄が優先的購入権の行使を希望したとしても、ブラジル政府は、ウジミナス資本が日本企業に集中することを許可しないと見られている。
新日鉄がウジミナスの経営権を維持するためには、2社の保有株を買い取る必要がある。
2009年にはバーレ社が自社保有のウジミナス株式を新日鉄に売却しようとしたが、同社の経営権を持つ国立経済社会開発銀行(BNDES)はこれを拒否した。
最終的には、カマルゴ・コレアとボトランチンが売却先となったことでようやくBNDESが認めた経緯がある。
今回の件についてのエスタード紙取材に対し、カマルゴ・コレアとボトランチンは何もコメントしていない。株式市場での株買占めも進めているCSNは、動きがあれば広報担当を通し、市場へ報告または発表すると発言。新日鉄側代表者とは7日現在、コンタクトが取れていないようだ。