ニッケイ新聞 2011年9月10日付け
故平田進元連邦下議の妻、平田美津子(洗礼名セシリア)さんの伝記『Cecilia Hirata – Vida e familia de uma mulher cosmopolita(平田セシリア〜あるコスモポリタン女性の生涯と家庭)』(174頁、ポ語、優美・ガルシア・ドス・サントス著)の出版記念会が15日午後7時から、文協ビル9階(移民史料館)で開催される。
美津子さんは現在88歳。外交官の娘として生まれ、父の赴任に伴い米国、マニラ、北京、香港などで暮らした。戦前に東京へ戻り大学教育を終え、NHKラジオ東京英語放送課に勤務。
そこで東京大学に留学中で後に政治家となる平田進氏と出会い結婚。52年に3人の子供を連れて来伯した。
海外生活や戦前、戦後の苦難を乗り越え、政治家の妻としての役割を果たしながら8人の子供を育てた〃国際派日本人女性〃が描かれる。
案内のため8日、著者の優美さんと、平田夫妻の長女でパリ在住の平田エレーナさん(65)が本紙を訪れた。
説明によれば、07年末にサンパウロ大学で社会学の博士課程に在籍していた優美さんに、指導教官のエレーナさんが、「自分の母親の生涯を残したい」と協力を依頼。
「移住した女性の人生を記した本はあまりないのでは」と快諾。手記として美津子さんが書き進めていた原稿をベースに関係者に取材、資料、写真も盛り込んだ。
優美さんは、「戦後移民とは一線を画していた。海外生活が長く、英語で人格が形成されたので、他言語に対する抵抗もそれほどなかったのでは」と話す。
出版記念会には、美津子さんも出席、書籍は28レアルで販売される。