ニッケイ新聞 2011年9月16日付け
家政婦らを議会秘書として登録して公費から給与を支払うなどの職権乱用疑惑が上がっていたペドロ・ノヴァイス観光相が14日、ジウマ大統領に辞表提出と15日付の伯字紙各紙が報じた。後任として選ばれたのが、民主運動党(PMDB)の重鎮のサルネイ上院議長が同じように指名し、同じマラニョン州選出のガストン・ヴィエイラ氏であることから、伯字紙は同じ路線の継続だと批判的な論調で報じている。年頭に発足したジウマ政権にとって早くも5人目の大臣交代であり、前政権の遺物の〃掃除〃ではなく、現政権の体質にも問題があるのではとの声も上がっている。
ノヴァイス氏が2003〜2010年に下院議員だった当時、7年間にわたって妻の運転手や家政婦を連邦議会の職員や秘書として登録し、公費から給与を払っていた疑惑が持ち上がっている。
ジウマ大統領が政権を握ってから9カ月半が経ったが、彼女によって任命された閣僚から不正疑惑などで辞めた大臣は5人目となった。
報道によると、ノヴァイス氏は14日の夜、ジウマ大統領との会談中に辞表を提出したが、会議は5分以上もかからなかったという。
観光相が辞任する兆候を見せたのは13日からで、家政婦のドラリセ・デ・ソウザさんの給与が公的資金で支払われていたことが発覚した直後だ。
ノヴァイス氏は、2010年末にジョゼ・サルネイ上院議長によって観光相へと推薦されたが、これまで数々の問題が表面化していた。任命後の2010年12月には、議会の資金を使ってラブホテルでパーティをしていたと伯字紙で報道されている。その他、観光省から送られた100万レアルを下議時代に実在しない幽霊企業に横流した疑惑が、11年8月に発覚している。
観光省では8月、事務方トップら9人が汚職の疑いで一斉逮捕された。その中には、ノヴァイス氏の右腕に当たる人物も連行されている。
ジウマ大統領はこれまで同様、民主運動党からの反発を起こさないために、更迭ではなく、本人からの辞任を待つべきだと考えていた。
ジウマ政権では6月以降、官房長官ら3閣僚が汚職疑惑で辞任。国防相も他の閣僚を批判して政権から離脱した。
同付フォーリャ紙によると、大統領は後任にガストン・ヴィエイラ氏を選んだが、彼はサルネイ上院議長の家族と関係を持っている人物だという。大統領自身は民主運動党のガブリエル・シャリタ氏を任命するつもりでいた。しかし、2012年のサンパウロ市長選にシャリタ氏を出馬させる考えでいる同党のミッシェル・テメル副大統領が反対した結果、ヴィエイラ氏が急浮上したという。