ニッケイ新聞 2011年9月17日付け
連邦政府は15日、主に中国製や韓国製の輸入車が影響を受けそうなIPI(工業税)の増税をするとの見通しを公表したと16日付け伯字紙各紙が報じている。公表によると、国外から輸入された、または国内で生産された車やトラックに対するIPIの課税率が30%に引き上げられるもので、2012年12月までの時限措置だという。
国内メーカーに対しては、政府が出した要件を満たしてさえいれば増税対象外となる。免税処置を受けるための要件は、次の三つとなっている。
(1)メルコスル(南米南部共同市場)製の部品を65%以上使用する。
(2)売上の0・5%を研究などへと投資する。
(3)生産過程で少なくとも六つの工程(スタンピング、塗装、エンジン生産など)を国内で行う。
一方、ブラジルと自由貿易協定を締結しているメルコスルとメキシコからの輸入車は、増税対象外となっている。
国内で景気減速懸念が高まっている状況を受け、自動車メーカーの在庫が増加してきていた。レアル高の為替により輸入車が増加すると同時に、為替による価格競争力の低下で自動車輸出が減少していることも、自動車在庫増加に影響を及ぼしていた。
在庫拡大の影響を受け、ゼネラルモーターズ・ド・ブラジル(GM)とフォルクスワーゲン・ド・ブラジル(VW)はすでに、土曜日の休日稼動時間を短縮し、前倒しで生産調整に乗り出していた。また、その他の自動車メーカー各社も9月から生産ペースを落とする方針だった。
政府は当初、国内で生産した車を対象とした減税措置などを検討していたが、メーカー側は値下げ競争につながる可能性があると牽制していた。
今回のIPI規制は車両の排気量などによって異なる。例えば、1千ccのフレックス車の場合、IPI課税率は従来の7%から37%に引き上げられ、2千cc以上の車の場合は25%から55%まで引き上げられることになる。IPIの課税率の引き上げは60日後から始まる予定だ。
ギド・マンテガ財相によると、IPIの増税は自動車価格に直接上乗せされ、最終的には、価格の25%〜28%の引き上げに繋がるという。