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被害届けのない金庫盗難=なぜか探偵会社に調査依頼
ニッケイ新聞 2011年9月17日付け
南米随一の金持ちが集まる金融街パウリスタ大通りにあるイタウー銀行の個人向け貸し金庫約170個が破られたにも関わらず、警察への届出がほとんどないという不可思議な現象が起きていると15日付フォーリャ紙など各紙が報じている。
8月27日深夜から28日早朝にかけて同銀行に侵入した強盗団は、数時間がかりで次々に貸し金庫をやぶり、中にあった貴金属や現金などを奪い、逃走した。貸し金庫狙いの強盗としては最大規模の被害となった。
同紙によれば、わずか2個分の貸し金庫の中身を金額に推計しただけで約1200万レアルになった。具体的には、「アフリカ産ダイアモンド」「コロンビア産エスメラルダ」「18世紀に作られたルビーがちりばめられたプロイセンの小箱」「象牙細工の銀製品」などの貴重な数々が納められていた。
持ち主の大半は、なぜか警察に調書を届けるのではなく、警備会社3社や国際探偵企業3社などに依頼して、取り戻す算段をしていると報じられている。
同紙は「調書は簡単に見られるものなので、誰がどの宝石の持ち主かが強盗の一味に知れてしまい、後々のゆすり、たかりの原因となる可能性があるので、届出をしないのでは」と分析している。警察側の意見として「すべての持ち主が、その盗難品が自分のものであると証明する事が困難である可能性もある」との推測も掲載されている。いったいどんな金持ちがこの貸し金庫を使っていたのかの方に、一般の興味が集まっているようだ。