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4案件に無効化の危機=司法の盗聴違法判断で=法相「完璧に合法範囲内」

ニッケイ新聞 2011年9月21日付け

 フェルナンド・サルネイ氏を調べたボイ・バリーガ捜査に関連して、司法高等裁判所(STJ)が「盗聴捜査は違法である」との判断を下した事が、連邦警察が現在進めている、少なくとも4つの注目度の高い他の案件にも重大な支障をきたす可能性があると20日付けエスタード紙などが報じている。
 ペドロ・パウロ・ジアス=アマパー州知事らが辞任するきっかけとなった収賄事件でも盗聴が重要な役割を果たしており、両件の被告人らも今件の成り行き次第で、自ら件の捜査も無効化するために同裁判所に上告することが予想されると報じている。
 例えばジョゼ・ロベルト・アルダ知事の場合は「パンドラの箱」捜査の名で知られており、連邦直轄区の政治家への賄賂支払いシステムが発覚し、知事退陣につながった。同知事の弁護士アルベルト・トロン氏は盗聴捜査を無効とする判断を聞き、「私もすべての捜査の無効化を要請する」とコメントしている。
 また「ナヴァリャ」捜査では、07年にPAC(経済活性化計画)の工事で賄賂を織り込んだ高額の見積もりを裏交渉していたことが暴露され、時のシラス・ロンデアウ鉱山動力大臣の辞職につながった。
 「ヴォウシェル」捜査では、8月9日に観光省内の官僚ら30人が逮捕された事件でも、盗聴捜査は重要な手法だった。
 エスタード紙によれば、司法許可を受けて盗聴捜査が行われている電話だけで1万7122件におよび、インターネット電話は750件、Eメールは320件が連警の監視化にある。今年の1月から8月までに盗聴された件数は、昨年の1万8333件より若干少ないだけで、実態としては捜査を支える重要な最手法の一つとして機能している。
 地域としては、サンパウロ州、パラナ州、ゴイアス州、南大河州での盗聴許可が最も多い。逆にアラゴアス州では4電話回線しか盗聴されておらず、最も少ない。
 連警を管轄するジョゼ・エドゥアルド・カルチンス・カルドーゾ法相は、「司法高等裁の判断は常に敬意を払われるべきだが、連警は完璧に法の範囲内で捜査をしている」と捜査陣の立場を弁護する。「連警の態度に問題があったのではなく、あまりに盗聴に頼りすぎる姿勢に司法は〃悪習〃だと判断したようだ」と分析する。

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