ニッケイ新聞 2011年9月21日付け
金融危機の行方の不確かさからドルが主要通貨に対して上昇し、結果的にレアルは下がる現象が起きている。米国通貨は2010年7月以来の高水準となる1ドルあたり1・80レアル台に近づいていると伯字紙各紙が報じている。
ギリシアの債務不履行が危険視される欧州経済危機から生じる心配と、これまでブラジル政府がレアル高を防ぐために採用してきた措置の反動をうけ、ここ2週間、ドルが急激な上昇を見せている。
米国では景気悪化に加え、金融機関への懸念などから、2011年7月26日には1999年以来のドル安(1ドル=1・5730)水準に達していたが、中央銀行(BC)の通貨政策委員会(Copom)が、経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント引下げた9月の始めから一転し、急な値上がり傾向をみせはじめた。
20日午後5時現在で1・13%ドル高の1・78レアルとなっている。
この傾向の背景には、ギリシア支援に向けた欧州の足並みの乱れや欧州の銀行へのその影響の不安から、安全な投資先として世界的にドルを買う傾向が強まっていることがある。その影響を受けて世界中の通貨が値下げしているが、世界の主な16通貨の中で最も値を落としたのはレアルだ。
月の初めからレアルが対ドル11・58%の値下げとなっており、それに続き南アフリカのランドとスイスのフランが大きな値下げを見せている。