ニッケイ新聞 2011年9月22日付け
国際通貨基金(IMF)は20日、2011年と2012年の世界経済見通しを発表したが、ブラジルを含め、金融危機に揺れる欧米はもちろん、ほぼすべての地域の成長率予想を下方修正したと21日付エスタード紙が報じている。なかでもIMFは、2011年のブラジル成長率見通しを4月に示した4・1%から、今回は3・8%と下方修正した。この通りなら、14年のサッカーW杯まで好景気が続くかどうか、予断を許さない状態といえそうだ。
国際通貨基金は今回、新興国で高度成長を続けているBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の経済成長見通しの大半を下方修正した。ロシアのみが上方修正になっており、4・0%から4・3%となった。中国とインドはそれぞれ10・3%から9・5%、10・1%から7・8%と下方修正されたが、まだ高成長を保っている。
それらに対し、ブラジルは7・5%から3・8%へと大幅に下げられ、世界平均の4%よりも低い数字となった。2012年の見通しは3・6%。前回の見通しは7・5%だったから、こちらも大幅に下方修正となっている。
同基金は世界経済全体の成長率見通しを、2011年と2012年ともに4・0%とし、6月時点の予想である4・5%から引き下げている。
米国と欧州での危機の影響を受けた先進国グループはわずか平均1・6%のみ成長するとの予測だが、新興国市場の方は6・4%も成長すると見通しており、2011年の世界経済はさほど悪化しないと見ている。
IMFの主任エコノミスト、オリヴィエル・ブランシャール氏によると、2011年の世界経済は、財政調整策や日本での地震の影響以上の問題を抱え、「危険な新しい局面に入った」と警告している。
主に米国と欧州では国内貯蓄の増加と輸出を強化するという政策が不足し、他にも発展途上国の中では中国における消費者市場への刺激が不足しているとする。世界経済が成長するためにも、「各国が解決に向けた強い姿勢で政策を進めることが必要だ」とブランシャール氏は述べている。
一方、発展途上国は金融危機の中心とはなっていないが、世界的な経済情勢の悪化によって影響から避けられないと見られている。今のところ新興国は継続的な成長を見せているものの、資本移動の受け入れや輸出増大を進めて、不利な条件に対処しなければいけないとする。