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「米国の軍事介入間違い」=イスラムとの平和共存を=ジウマ大統領国連演説で

ニッケイ新聞 2011年9月22日付け

 「市民に多大な犠牲を強いる暴力的な抑圧行動は極力避けるべき。武力介入はあくまで最終手段であるべきだ」。そうジウマ大統領は21日午前、ニューヨークで行われた第66回国連総会の開幕演説の中で、欧米諸国が昨年から中東や北アフリカのイスラム諸国で起きている〃アラブの春〃と呼ばれる国内紛争に武力介入している姿勢を強く否定した。21日付けブラジルメディア各サイトが報じている。
 国連常任理事会のあり方に敬意を払いつつも、「ここに集まっている国々は、もっと効果的で正当な紛争介入、仲介手段を探すべきではないか」と注文をつけた。
 アラブ社会の複数国に軍隊を派遣して軍事的介入をする米国とは対極的な立場をとるブラジルとしては、「紛争を未然に予防する」方向性の強化を訴える潘基文(パン・ギムン)事務総長に同調すると明言した。「解決を催すべく民主的に徹底的に話し合う事務局長の姿勢を支持する」と武力に頼りがちな米国のやり方を批判した。
 「テロリズムが紛争を激化させ、かつては存在しなかった暴力の連鎖が起き、その被害者となる市民が年々増加する一方であり、世界はかつてない抗争の泥沼にある。たくさんの人々が市民を守らなくてはと口にするが、実際にその責任を実行する人はわずかだ。もっと紛争解決についての考えを深めるべき」と強調した。
 大統領はブラジルが積極的にこの地域からも移民受け入れをしていることに触れ、「2010年の末から〃アラブの春〃とよばれる民衆の示威行動を見てきた。ブラジルは世界中から移民を受け入れてきた国だ。ブラジル国民は、たった一つの文化に帰属しない理想的なあり方、〃自由〃を求め、その動きに連帯の意を表する」と語った。
 ブラジルはすでに1967年の時点でパレスチナ国家を承認している点にも触れ、「パレスチナの民には中東における完全な独立国としての地位を国連内に保証すべきである。パレスチナに国家としての保障を与える事で、中東における恒久平和の可能性を拡大する」との考えを改めて表明した。
 さらに、「わが国ではアラブ系子孫とユダヤ人は、そうあるべく、仲良く調和して生活している」と強調した。
 加えて国連常任理事会に関しても、「世界はもっと現実を反映した理事会体制を求めている。発展途上国の代表から、新しい常任理事国を受け入れたらどうか。ブラジルは常任理事国としての責任を負う準備はいつでもできている」との覚悟と意欲を示した。