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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月22日付け

 ブラジルの日系移住地があるところでは、「UNDOUKAI」が行なわれていることがある。何度か取材、参加したことがあるが、のんびりした雰囲気で楽しい。住民の交流の場でもあり、ブラジル人たちも日本文化と認識しているようだ▼日本発祥のイメージがあるが、日本最初の運動会開催は、イギリス人の手によるものらしい。海軍兵学校で英語を教えていたフレデリック・ストレンジの主導によって1874年に開かれた「競闘遊戯会」がそれだ。その4年後、札幌農学校で開催された遊技会が道内で広がり、初代文部大臣だった森有礼の号令で全国普及に繋がったという▼日本でブラジル人が一番多く住む静岡県浜松市で10月、「日伯運動会」が開催される=本紙7面15日付け詳細=。市制100年事業の公募に日伯交流協会が申請していたもので、ブラジル人学校の生徒や地域住民ら約700人が参加する。実行委員長の児玉哲義氏は「ブラジル人と日本人の絆を深めたい」と意気込む。目的は「交流」だ▼行進や組体操、リレーでのバトンの受け渡しの練習をする日本の運動会は、その成果を父兄の前で発表する場であり、規律を旨とする集団訓練の役割もある。一方、「日伯運動会」は性格上、あくまで「UNDOUKAI」であり、ブラジル外務省も後押しするというのだから、ある意味、逆輸入ともいえる▼同時期、運動会は大陸でも種が蒔かれた。日本統治時代の名残で、韓国、北朝鮮、台湾や中国東北部の学校にも運動会があるとか。どのような形に変容しているのかが気になる。(剛)