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軍事政権の闇を暴くか=念願の真相究明委員会=緊急審議で下院を通過

ニッケイ新聞 2011年9月23日付け

 ジウマ大統領の強い意向を受け、軍事政権時代などに行われた人権侵害の実態を解明する真相究明委員会(Comissao de Verdade)を作る法案が21日夜、下院を緊急審議で通過したと22日付エスタード紙などが報じた。次は上院で審議され、ジウマ大統領が最終署名する予定だ。
 自ら70年代の左派ゲリラだった同大統領の意向を強く受け、また労働者党(PT)自体が軍政権時代に弾圧された反政府活動家や組合運動家が中心になって集まった政党であり、念願とも言える委員会設置といえる。
 今回は1946年から1988年に限定されており、パラグアイ戦争や第2次世界大戦を含んだゼッツリオ・バルガス独裁政権時代は除かれ、1964年からの軍事政権時代の人権侵害に焦点が当てられているようだ。
 21日晩は、NYにいるジウマ大統領が自ら電話で交渉に参加したほか、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相、マリア・ド・ロザリオ人権相、国防省からもジョゼ・ジェヌイーノ特別補佐官が会議に加わった。
 最も争点となったのは民主党(DEM)が求める人選に関する条件で、党要職者や実際の事件関係者は入れないなどの点に固執したようだ。
 法案で議論を呼んだ点の一つは、拷問やテロに関係した人名を明記するかどうか。法案に反対する勢力からの強い要請を受け、最終的には記述することを禁止した文面となった。
 政府側交渉者はこの条件を飲んだが、ジウマ大統領は最後まで反対したという。野党がこの文面の変更を許さなかったため、21日中に可決する事を最優先する判断によってそのまま通過となった。今回は代表者による審議で決定され、下院議会で全体討議はされなかった。
 民主社会党党(PSDB)からも「興味を持ったどんな市民も委員会に情報を要請できる」件が提案され、承認を受けて法案に反映された。また委員会の報告書は最終的に国立文書館に送られる事も承認された。
 この委員会は2年間の活動期間で、ジウマ大統領が指名する7人の委員からなる。国家権力に関連した機関から情報を集め、調査を進める。国家レベルのあらゆる機密文書を参照することができるが、機密文書の内容を暴露する事は許可されていない。この調査は歴史的な事実を解明するためのもので、軍事政権時代のことを恩赦するアネスチア法で許された人々を処罰するためのものではないと規定されている。
 フォーリャ紙22日付けによれば、軍事政権時代の人権侵害を評価する国政レベルの委員会は民主政権になってから3つ目。以前の二つはカルドーゾ政権時代に作られた。特に95年の第1期政権中の委員会では、少なくとも136人の〃行方不明者〃といわれていたものが、政治的迫害による殺害だと規定されるなどの成果があった。