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ドル高=3週間で22・7%上昇=ブラジル政府が損失低減措置=中銀介入で27億ドル売却=レアル安まだ続く見通し

ニッケイ新聞 2011年9月24日付け

 世界金融危機の影響を受け世界の主要株式市場で株価が下がり、再びドルが急上昇している。BC(ブラジル中央銀行)は22日、ドルの急激な変化によるブラジル企業の損失を低減するため2009年6月以降初めてドルを売却する大規模介入措置を取ったと23日付エスタード紙などが報じている。ドル高傾向によって、22日1・953レアルまでレアル安が進み、BCによる介入後、一時1・846レアルまで戻したものの再びドル高になり、結局1・910レアルで取引を終えていた。23日午後4時現在、1・85レアルと若干ドル安方向にふれているが、まだまだドル高傾向は続くと見られている。

 ドル高傾向の原因の一つは、米国中銀が発表した「オペレーション・ツイスト」といわれる。これにより、米短期金利の上昇予想からドル高傾向が生まれているほか、欧州と中心とする景気減速懸念によるリスク回避によるドルへの逃避という、ドル高要因も指摘されている。
 8月末には1・59レアルで取引されていたドルが、22日の相場では最高1・95レアルで取引が行われ、わずか約3週間で22・7%の上昇を見せた。
 BCは22日、2009年6月以来初めて外国為替でスワップ取引をすることによって市場に介入、上昇するドルに対して投資家を保護する措置を取った。BCは最終的には27億5千ドルを取引した。
 スワップ取引における売却は、先物市場におけるドルの売却に相当するもの。先物市場とは価格や数値が変動する各種商品・指数について、未来の売買についてある価格での取引を保証する市場のことで、価格変動の影響を避けるための手段としての側面を持っている。
 ブラジル政府は大量のドルを売ることによってレアル安を抑制する措置を取ったが、すでに次の措置も検討されており、「引き続き先物市場に関与していくつもりだ」とアルド・メンデスBC金融政策取締役は述べている。また「我々が世界の経済成長を支えている」とジウマ大統領はニューヨークでのインタビューに答えている。
 一方、エコノミストのルイス・エドゥアルド・アシス元BC金融政策取締役は、ブラジル政府がドルの上昇を抑えるためにできることはないと評価している。エスタード紙のインタビューに対して、「ドル安が長く続いた分、バネのように反発している。ドルが上がれば上がるほど買い手が現れる」とアシス氏は述べている。