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先生を撃ち自らの頭も=10歳の生徒が父の銃使い=Sカエターノ市模範校で

ニッケイ新聞 2011年9月24日付け

 「少年は階段を上り、自分の頭を撃ち、階段を転がるように落ちた。その頭からは沢山の血が流れ、あたりは血の海になった」(17歳生徒の目撃談)。同級生が見ているクラスの中で、10歳の生徒が先生を拳銃で撃って大怪我を負わせ、直後に自分の頭を打ち抜くという衝撃的な事件が22日午後4時前、サンカエターノ市の州立模範校で起きたとブラジルマスコミは一斉にトップニュースとして報じている。
 それはポルトガル語の授業の最中だった。休憩時間のすぐあと、15時50分ごろ、指折りの優秀な公立校として知られるアウシナ・ダンタス・ジェイジョン校で、4年生のダヴィ・モッタ・ノゲイラさんはいきなり立ち上がり、24人の同級生が見ている前でロジレイデ・ケイロス・デ・オリベイラ先生(38)の後ろに38口径の銃をつきつけ、腰の辺りに1発発砲した。銃声を聞いて学校中が大騒ぎになり、すぐに警察が呼ばれた。
 先生はすぐにクリニカス病院に搬送され、弾丸を摘出するなどの治療を受けた。
 銃をもった生徒は教室から出て、今度は自らの頭を打ち抜いた。やはり病院に担ぎ込まれたが、すぐに死亡が確認された。警察では動機を調べているが、まだ判明していない。
 同級生や学校職員によれば、その生徒への印象は「勤勉、知的、寡黙な人柄」というものだった。事務局にも彼に対する苦情は届いていなかったという。つまり一見、模範的な生徒だった。
 怪我をした教師の恋人、ルイス・ハヤカワさん(37)は別の見方をしている。「彼女は以前からその少年は同級生に暴力的な悪戯をしていたと学校に報告していたと言っていた。その生徒はここの学校ではなく、もっと特殊な学校に行くべきだとも」。何度も彼女からその相談を受けたハヤカワさんは、職場を変えるように薦めた。「でも、本当の教師は授業に愛情を込める。彼女も授業を愛していた」。
 しかし、サンカエターノ市教育局のモアシ・ロドリゲス局長によれば、その生徒がイジメを受けていた、もしくは教師を脅していたという報告は受けていないとする。
 市警備隊(GM)である父親が所持登録していた拳銃が使用されており、子供が持ち出せる場所に武器を放置した父親にも殺人幇助の疑いがもたれている。父親は旅行鞄の中に隠していたが、その日の昼に無くなっていることに気付き、午後1時ごろ学校に行き、そこに通う息子2人(14歳と10歳)を探して尋ねたが、二人とも「知らない」と返答していた。14歳の息子は事件の後、「僕が弟の鞄の中まで確認すれば良かった」と後悔していたという。
 23日付エスタード紙ではPUCの教育学専門家のネイデ・バルボーザ・サイシ氏は、「教室に拳銃を持っていくのは、生徒にとって一つのステータス(社会的地位、権力)」と分析する。「自宅で父親の拳銃を普段から見ていた10歳の子供は、最初は好奇心から触ったり、ステータスの象徴として友達に見せていたのかもしれないが、いったん使うマネをすることを覚えた時は…」と自宅の環境にも遠因があるとみている。