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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月27日付け

 週末の暇を見つけては、ルス駅に向かいCPTM(都市圏鉄道)に乗りぼやーっと窓外の風景や緑濃い森を眺め終点まで走るのがとて好きだ。汽車好きは若い頃からだし、日本では機関車の煙突から黒い煙がもうもうと吐き出されトンネルに入ると大急ぎで車窓を下ろさないと真っ黒けになったりもする。クリチーバから海岸山脈を走る列車は山肌に咲く花々が綺麗だし、清浄な大気を胸いっぱいに吸う快感は忘れ難い▼それにしても、この3〜4年で都市圏鉄道は見事なばかりに立派になり、乗客たちも心なし気持ちよさそうな面持ちでゆったりと座っている。セーラ前知事がCPTMの改良に積極的に取り組んだ成果ながらアルキミン知事も、重大事とばかりに熱心なのがいい。兎に角—新しい客車が次々に投入されるので車内も窓ガラスも見違えるばかりに美しく、アルキ知事は年内には全客車を新装したいと意気込んでいる▼ルス駅からヴィラソニアを結ぶ地下鉄も、小泉政権から円借款を受けて工事を始めたものだし、あの元気満々の知事さんは、元々が鉄道に深い関心を抱いていたのだろうが、巨大都市サンパウロにはもっともっと公共運輸に必要な快適な鉄道が要る。近頃は、かなり豪奢な邸宅が売り出されているジュンジャイとサンパウロ市に鉄道を敷設し35分で結ぶとしてもいる▼あの汚れきったチエテ川が昔に近いような清流になったのも日本の技術が大活躍した結果だし、一世たちの移民は途絶えてしまったけれども、一般にはなかなか見え難い列島の資本や技術の交流はさらに深まっているのが何とも嬉しい。(遯)