ニッケイ新聞 2011年9月28日付け
サンパウロ市公安局の発表によれば、年頭から8月までの間、サンパウロ市では前年同月比で殺人事件は減っているが、盗難や強盗事件が1月から増えていると27日付エスタード紙などに報道されている。
この8月、サンパウロ市では最多の盗難数となる1万289件を記録し、昨年8月に比べて8・6%増という状態だ。自宅や商店への押し入りや路上盗難を含めた月平均の被害件数は9193件となっている。先月のサンパウロ市では自動車盗難が3703件あったが、それは含まれていない。
8月の盗難件数を区ごとに見ると、171〜210件と最多数を記録しているのは、セントロ地区のセー、サンタエフィジェニア、富裕層が多いモルンビー、ジャパグアラも狙われており、南部のサントアマロ、ジャルジン・ミリンも多い。次に危険な131〜170件を記録したのはイピランガ、サンタセシリア、コンソラソン、ペルジゼスだ。日系人の多いリベルダーデ、カンブシ、ビラ・マリアナあたりは51〜90件と低めだ。
8月のサンパウロ市は7月に比べて殺人が4件増えて、104件となった。ただし、8カ月間の数で見れば、前年比で18・9%減となっている。
州都警護の責任者マルコス・ロベルト・シャベス・ダ・シウバ大佐は、市警が2カ月前から9警察署で新しい犯罪登録方法を採用した事が、盗難件数が増えたことに大きく関係していると考えている。「他の要因としては、盗難や遺失物など軍警もBO(調書)を作るようになったこともある」。また、8月に最多盗難件数242件を記録したジャルジン・ミリン区などに対し、軍警は犯罪多発地域のパトロールを強化している。
治安問題の専門家は、資産の盗難は憂慮すべきことだが、なによりも殺人事件が減る傾向を見せていることは歓迎すべきだと見ている。短期的にみれば昨年8月の殺人事件は84件から今年の104件へと増加しているが、今年8カ月間でみれば10万人当たり9・89人と依然として低い割合を示している。
8月の交通事故死亡者数は44人と、今年で最低の数となった。逆に最悪の数字となったのは5月の76人だった。中でも死亡事故が集中しているのは、46管区警察署(ペルス)で、23人とほぼ3分の1を占める。
ヴィットル・マルチネス警部は、「この地域にはアニャンゲーラ、バンデイランテス、マリオ・コーヴァスと3街道が集中しており、そこで事故が起きる」と説明する。
公安局によれば、8月までに481人がサンパウロ市の交通事故で死亡している。月平均で60人だ。