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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月29日付け

 日本移民を端的に表現した言い方に「ジャポネス・ガランチード」「農業の神様」がある。前者は「日本人は信頼できる」と訳されるが、実はポ語のできない日本人をバカにした言葉だとか。後者は〃語源〃がはっきりしない。どういう言葉が訳されたのだろうか。日本人自身が作ったのであれば、多少自画自賛の匂いがする▼とはいえ農業面での貢献は疑いようがない。フェイラに行くたび感謝しきりだ。<朝市のバンカは美し葉野菜のはざまに映ゆるにんじんの色>富樫苓子。にんじんだけではない。大根の白さも白菜の淡い緑も好ましい。日本人のいない地方のフェイラはくすんで見える。産毛の生えたごわごわのエスピナフレは二日酔いの舌を想像させる。やはり根の赤なまめかしい緑たおやかな「ホウレンソウ」を求めたい▼名称にジャポネスがつくそれらの野菜も元来は日本にはなかった。原産を挙げれば、ウド、フキ、タラの芽、ミョウガ、自然薯、カタクリ、ワサビ—後はキノコ類が主だとか。いわゆる日本的なカブ、ナス、カボチャなどは外来種で、品種改良が施された伝統野菜と呼ばれるのだという。そういえばバタタも南米原産。野菜の歴史の旅に思いを馳せるのもフェイラの楽しみ▼これから暑くなる。ソーメンや炊き込みご飯に散らすと心わく青ジソも実は中国伝来。高価なうえ香りも飛ぶので常備というわけには—と思っていたのだが、手軽な保存法を知ったのでご紹介。底を切り取ったプラスチックコップに水を張り、青ジソの軸を漬けたものを瓶の中に入れ、キッチリ封をして冷蔵庫に。シャッキリ、香りも1カ月はもちます。(剛)