ニッケイ新聞 2011年10月1日付け
中央銀行は9月29日、2011年の経済成長に関する第3四半期インフレ報告書を発表し、今年のインフレ率予想を6・4%へと引き上げると同時に、経済成長率予想を4%から3・5%へと引き下げたと9月30日付エスタード紙などが報じている。年間インフレ率の上限目標である6・5%に限りなく近づいたのにも関わらず、BCはさらなる基本金利(Selic)引き下げを行う可能性を示唆している。インフレ上昇と成長鈍化の二重悪化がブラジル経済を襲っている事を、中銀が正式に認めた格好だ。
BCは29日、インフレが進むリスクを承知の上で、国内経済の拡大を優先するために再び基本金利を下げる可能性があることを明らかにした。成長鈍化はアレシャンドレ・トンビニ中銀総裁が以前から予告していたことで、市場関係者には織り込み済みの内容だった。
BCは、今年のインフレ率予想を3カ月前の5・8%から6・4%へと上方修正しており、金融市場の専門家は、政府が設定した上限を超えると予測している。
BCは同報告書で、欧米における債務危機の深刻化の影響を受け、世界経済が失速すると予想する。それにより、たとえ基本金利を引き下げたとしても、欧米の危機の影響による国内物価の下落がインフレを相殺する効果があると見ている。
先進国の景気減速でインフレ圧力が低下するとの予想から、2012年のインフレ率予想は4・8%から4・7%へと下方修正された。トンビニ中銀総裁は、「世界経済は大幅に減速する」と予想、2012年のインフレ目標の達成に向け「緩やかな調整」が必要だという。
ブラジル政府は世界的に見て高水準にある基本金利の引き下げを基本的に望んでいるが、インフレ率の高止まりが利下げを困難にしている。
COPOM(通貨政策委員会)は8月に金利を0・50%ポイント引き下げ12・0%とした。10月に行われる次の会合に関して、11・0%まで一気に引き下げられる可能性すらささやかれる状況となっている。
BCは最近の為替変動の影響で、今年の純債務の対国内総生産(GDP)比を39・0%から38・5%へと減少した。ブラジルはドルの債権者であるため、米国通貨の上昇の影響を受け国の債務負担を軽減した。
今回のGDPの算出は、9月9日時点の1ドルあたり1・65レアルの為替相場を前提としている。