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「高速鉄道は後回し」=連邦司法が優先順位付け=州間鉄道や空港整備先に

ニッケイ新聞 2011年10月1日付け

 高速鉄道より先にすべき事がある——連邦司法は「ほかに優先すべき公共交通の整備がある」とし、入札延期が繰返される高速鉄道構想に関して当面、差し止める判断を下したと10月30日付エスタード紙などが報じている。特に優先されるべきは75キロ以上の州間公共交通建設などだとされている。
 リオ、サンパウロ市、カンピーナスを繋ぐ高速鉄道網はジウマ政権が誇る中心的な大型プロジェクトだったが、応札希望の企業が表れず、入札延期が3度も繰返されていた。次の入札は来年2月に予定されていたが、現段階で事実上、当初の完成予定だったサッカーW杯はとっくに見送られ、さらにリオ五輪すらも一部区間との見通しが公に語られるまでになっていた。今回の司法判断により、当面は正式に差し止められるものとみられる。
 これは連邦検察庁(MP)の要請により、第9連邦法廷のアラオル・ピアシニ判事が判断したもの。国家陸路輸送庁(ANTT)は、高速鉄道構想を進める以前に、憲法の規定にあるとおり、公共交通の整備充実を優先して図るべきとしている。
 ANTTは広報を通じ、司法判断を尊重するが、高速鉄道の入札を実施できるよう上告するための法的手続きも進めていると発表している。
 憲法によれば、州をまたいだ公共交通の整備は喫緊の課題とされ、ANTT自身によって日程延期調整されているが、それすらも停滞した状態にあると連邦検察庁は指摘している。
 今回のブラジリア連邦法廷の判決により、ANTTは10月中には州間や国際鉄道を75キロ以上に延ばすための助成金の入札文書を公示しなければならない。この判決ではリオ・カンピーナス間高速鉄道計画に助成金を出す事や、便宜を図ることを禁じている。
 さらに国際・州間道路による旅客輸送に関しても入札日程を厳守するよう言い渡している。これは3段階を経て、来年9月に助成金の入札予定となっている。この日程が守れない場合、ANTTは5千レアル/日の罰金を払う事になる。
 なお急がれているグアルーリョス、ヴィラコッポス、ブラジリア3空港整備・拡張計画への補助金に関する規定に関して、連邦政府は30日中に概要を記した文書を公表すると見られている。もし応札できた企業は、連邦政府からの最高額の助成金を得る事になることから、入札希望企業らは鵜の目鷹の目で成り行きを注視している。
 入札は12月22日に予定されおり、その30日以上前に入札条件を公開する必要がある。
 インフラエロ(空港公団)の投資予想によれば、この3空港の工事に支払われる総額は2014年までに約30億レアルを上回ると見られている。そのうちの最大額はグアルーリョス空港への13億レアル、続いてカンピーナス(ヴィラコッポス)空港の8億7692万レアル、ブラジリア空港の8億6474万レアルとなっている。