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ニッケイ法律相談=その8=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2011年10月4日付け

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 質問=結婚はしていませんが、交際相手である男性との間に11歳になる娘がいます。交際相手は外国に住んで連絡が取れなくなっており、数年間帰ってきていません。私が娘を養っています。出生手続きには、交際相手の名前が父親として登録されていますが、養育費を含めた生活費、養育権を正式に私のものにしたいと思っています。ただ相手が行方不明なので、どうすればよいのかわかりません。
 回答=生活費、養育権ともに、数年はかかりますが、相手が外国にいて行方不明の場合でも、取得する権利が認められる判決が出ると思います。
 もし相手の外国での住所を突き止められれば、権利が認められるまでにかかる期間は短くなります。
 そうすれば、相手が帰国したときには逮捕され、養育費を支払うまで刑務所に入れられます。
 一緒に住んでいたときのブラジルでの住所を裁判所に届け出てください。それで判決が下されます。
 残念ながら、似たようなケースが日本にデカセギに出る日系人の夫とブラジルに残る妻との間でよく起こっています。
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 質問=車を運転していて歩行者を轢いてしまい、軽い怪我を負わせてしまいました。損害賠償を支払えば、それで済むでしょうか。
 回答=民法上では、お互いにそれで問題なければ、示談で解決となります。
 刑法では、怪我人が出ていますので罪に問われ、刑事裁判にかけられます。ただし、あなたがどういう状況で相手を轢いたかによって、罪の重さが変わります。罰金を支払うか、最近では何らかの奉仕活動を行うことで罪を償うのが一般的です。
 もしあなたが相手に怪我をさせる意図がなかったのなら、運転技能不足か、不注意か、車の整備不足かのいずれかが原因でしょう。どの場合でも、罪はそれほど重くないと思われます。
 ただし、酒酔い運転だった場合、意図的、たとえば殺意をもって事故を起こした場合、話は違います。重大な罪に問われます。
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 質問=10年ほど前、ある依頼人の仕事を引き受け、未だに手数料を受け取っていません。裁判は既に終了し、先方は支払わなければならないという判決が出ています。しかし最近、私のほうも相手にある金額を支払う立場になり、支払いを要求されています。しかし、相手から私に支払われるべき金額の方が大きいのです。私は差額を受け取りたいのですが、どうすればよいでしょうか。
 回答=民法では、自分の果たすべき義務を果たさずして、相手に何らかの請求をすることは間違いだとされています。先に借金をしたのが相手なら、本来ならばまずは相手があなたに返金すべきでしょう。
 ただ、このような場合は話し合いをして、相手の取り分とあなたの取り分を比べてその差額をどちらかが支払う形で「相殺」することができます。裁判にすることもできますが、あなたも相手も時間とお金を使うことになりますので、できれば話し合いで解決された方が良いと思います。
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質問は日本語でもポ語でも可。質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。