ニッケイ新聞 2011年10月5日付け
大サンパウロ圏サンベルナルド市内のブラデスコ銀行で3日、警備員が顧客に向けて発砲、射殺する事件が起きたと4日付伯字紙が報じている。
殺害されたサンドロ・コルドン・アントニオさん(33)は9月30日、営業時間に数分遅れて銀行に駆け込んだが、ジョナタス・ペレイラ・リマ警備員(29)に行内に入ることを拒否された。激怒したアントニオさんは、リマ警備員と口論の末、捨て台詞を残してその場を去った。
アントニオさんは3日、お金を引き出すために再び同行を訪れたが、事件を担当するヴィクトル・ヴァスコンセロス・ルッチ警察署長によると、アントニオさんは、リマ警備員を探していたという。
リマ警備員は、前回の口論が原因で1階から2階へと配置が変えられていた。しかし、アントニオさんはわざわざ自身の要件とはまったく関係ない2階まで足を運び、10時2分にリマ警備員のいた部屋をみつけると、再び口論となった。
「彼(アントニオさん)が銃を出すと脅迫したから先に発砲した」とリマ警備員は警察に対して述べており、「彼が職員を盾として使用したため後を追い続けて発砲した」と説明している。
行内の監視カメラには事件の一部始終が写っており、10時4分までの映像には、既に一発目を受けたアントニオさんが職員を盾として銀行内の一室から出てくる姿と、職員を解放して逃げようとするアントニオさんを背後から撃つリマ警備員の姿が写っている。
アントニオさんは一発目を腹部に受けており、他3発を背中に受け、即死した。警察によると、アントニオさんは武器などといった物を一切所持していなかったという。
警察は今後、2人が口論を開始した部屋の監視カメラを含むその他のカメラを検証、実際に何が起こったのか調査を進める。
銀行の警備員が顧客を殺害するケースは初めてではなく、マット・グロッソ州クイアバ市では今年の6月21日、金属探知機に3回連続して引っかかった顧客が警備員を侮辱したことによって殺害されている。
また、サンパウロ市では2010年5月6日、心臓のペースメーカーのせいで金属探知機を通れないという顧客の入店を拒否した警備員が、口論の末、顧客の顔に向けて発砲、殺害している。
今回の事件を受け、サンパウロ州民間警備会社職員組合(Sesvesp)は、警備員資格を取るための課程に、ストレスの中でどの程度自分を抑制できるかを調べる「攻撃性テスト」を加えるべきだとの見解を表明している。