ニッケイ新聞 2011年10月5日付け
ギリシャ共和国のアテネでは2004年、108年ぶりに第2回目となる夏季オリンピックを開催したが、同イベントの遺産として残ったのは、不履行国に貢献することになりかねない借金だけだと2日付エスタード紙が報じている。
アテネオリンピック開催にあたり、同国政府は当初推定された予算の2倍以上の274億レアルを投資した。公共支出の歪みは急増し、スポーツ選手の中には、大臣の座を得、仕事は何もしていないのに国からの給与を受け取って、練習を続ける人も沢山いた。
しかし、7年経った現在、オリンピックの遺産とスポーツ界は廃墟と化している。深刻な経済危機や政府の予算削減による景気後退は、オリンピックのために構築されていたすべてのものの解体に繋がっている。
国民の多くが、イベントの遺産は不履行国に貢献しかねない債務の数々だと考えている。
オリンピックのために建設・改修された22施設の大半は放棄されており、これらの施設管理のために立ち上げられた「Olympic Properties SA」社は現在、借金返済が不可能と判断されている。
また、南アフリカでも2008年のワールドカップ開催にあたって、ネルソン・マンデラ・バイ・スタジアム建設のために3億レアルの投資が行われたが、今では「エレファンテ・ブランコ=(白い像)」(巨大で派手だが何の意味も無いもの)になりつつある。
一方、ブラジルは2014年のサッカー・ワールドカップと2016年のオリンピック開催のため、多額の投資が民間と公的領域で行われるが、「エレファンテ・ブランコ」にならないためにも投資には最低限の保証を確保する必要がある。
2007年にリオデジャネイロ市で開催されたパンアメリカン競技大会では、8億レアルの当初予算に対し、最終的には40億レアルが投資されたが、イベント終了後の利益は少ないものとなっていた。