ニッケイ新聞 2011年10月6日付け
ドル安レアル高で工業製品の輸出が伸び悩む中だが、9月末の貿易収支は230億340万ドルの黒字となり、2010年の黒字額202億ドルを既に突破と4日付エスタード紙が報じた。国際的な経済危機の中でも、ブラジルの貿易は記録更新が続き、世界貿易に占める割合も昨年度の1・36%から1・4〜1・5%に拡大する見込みだ。
9月中はドルが上がり輸出に有利な状況になった事もあり、9月の黒字額は過去4年間で最高の30億7千万ドル。3四半期の黒字を昨年同期比81・4%増の230億340万ドルに押し上げるのに貢献した。
国際的な経済危機の中でも、コモディティ価格の高騰などに支えられた輸出は9カ月累計で昨年同期を30・4%上回る1900億ドルとなり、年間目標の2570億ドルも達成出来そうだ。
一方、ドル安が追い風となった輸入も、累計が昨年同期比25・6%増の1669億6600万ドルに到達。輸出入ともに新記録を更新中だ。
輸出額から輸入額を差し引いた月別貿易収支黒字額も新記録が続出しており、9月の30億7千万ドルは、6月の44億ドルや8月の39億ドル、5月の35億ドルにこそ及ばないが、昨年同月比では185・2%の伸びを記録。9月の月間輸出額は昨年同月比23・6%増の232億8千万ドル、輸入額は同13・8%増の202億1千万ドルだった。
ブラジルの輸出はアジアが主力で、9カ月累計は39・1%の増加。米国や欧州向けの31・3%、28・4%増に比べ、大幅な伸びをみせた。
また、コモディティ価格の高騰で一次産品輸出額は39・8%伸び、輸出総額の47・9%を占めるに至っている。工業製品の輸出は、半完成品で34・6%伸びたものの、完成品は18・4%の伸びに止まった。
一方、国産化比率が65%以下の車への工業製品税率が9月15日に引上げられ、駆け込み需要が生じた輸入車は、店頭から姿を消す車種も出始めたと5日付エスタード紙が報道。4日付フォーリャ紙によれば、9月の車両輸入は、前年同月比28%増だった8月と違い、前年同月比9・8%の伸びに止まった。
4日付エスタード紙によれば、9月の国内の車両販売は、国内消費の過熱とそれに伴うインフレ高進を抑制するための金融引き締め策の影響が出始め、8月比で5%減少した。中銀が長期ローンでの頭金の割合を引上げた事もあり、国内消費拡大の牽引車だったCクラス向け販売が落ち込んだ事が数字にも表れた。
ローンや融資利用の条件が厳しくなった事は個人消費や企業活動にも影響し、9月中の分割払いや小切手支払いの折の状況確認数から判断した消費熱は昨年実績以下で、工業生産も前月比マイナスなど、経済減速化感が強まってきている。貿易は好調だが、10月に経済基本金利再引下げの可能性も強まってきた。