ニッケイ新聞 2011年10月7日付け
9月後半からの急速なドル高レアル安傾向により、11月以降の電気・電子機器製品値上げは不可避との見方が広まっていると6日付フォーリャ紙が報じた。同日付エスタード紙によれば、9月22日の中銀のドル売り介入以降、市場ではドルは強含みとの見方が広がっているようだ。
ドル安レアル高が17カ月も続いた後、9月中に18%と急速に進んだドル高は、11月以降の電気・電子製品価格見直しを余儀なくさせるとされ、購入を考えている人は買い急げとの忠告まで出始めているという。
8月には1ドル=1・55レアル程度で動いていた為替相場が、9月には一気に1・80レアルを軸に動き出した事で、迅速な対応を迫られているのは部品調達を輸入に頼っているコンピューターやテレビなどの電気・電子製造業界。
3月11日に起きた東日本大震災の後も部品調達が困難となったが、この時は、ドル安レアル高が進んだ事で、値上げ圧力を回避できた。
ところが、今回のようにドル高が急速に進んでは、製造業者も部品価格の上昇分を製品価格に上乗せするしかなくなってしまう。
IT Data社によれば、11月の電気・電子製品の価格調整は10〜15%程度になると見られ、現在1300レアルのノートブックは1400〜1500レアル、1200レアルのコンピューターは1300〜1400レアル、1900レアルのLCDテレビは2100〜2200レアルなどの予想価格が上げられている。
ブラジルでのドル価は9月だけで18%上昇し、9月22日のドル売り介入後、中銀が新たに行った介入は5日までに既に3回。10月に入ってからのドルは2・34%下げているが、それでも、ここ1カ月の相場は11・27%の上げになる。
9月半ば以降のドル高は世界的な傾向で、ギリシャが債務不履行に陥る可能性の高まりと共に経済不安が広がり、国債や銀行の格付引下げも起きたため、リスクの少ない投資先を探す投資家達が欧州や新興国の市場に投じていた資金を引上げ、安全パイとされる米国債やドルに振り向けたのが最大の原因だという。
ブラジルでも、ドル買いを続けてきた中銀がドル売りに転じて以来、ドルは強含みとの見方が定着。レアル安で障害が軽減して輸出が増えた事や国外でドルを所有していたブラジル企業がレアルに換金した事なども重なり、9月のドル流入は、外国に本社のある企業の利益送金分を85億ドルも上回るという事態も招いた。
ブラジルでは、中銀のドル売りなどにより、09年2月以降87%増え、3530億ドルに達していた外貨準備高が30カ月ぶりに36億8千万ドル減少する一方、牛肉や砂糖、燃料などのコモディティ価格は8月比7・83%上昇など、インフレ圧力が強まっている。