ニッケイ新聞 2011年10月8日付け
応用経済研究院(Ipea)が6日、大サンパウロ市圏に住む30〜60歳の人の約半数はサンパウロ州外からの移住者で、サンパウロ州生まれは54%と発表したと7日付エスタード紙が報じた。移住者の割合は連邦直轄区の75%には及ばないが、商工業の中心地に人が集まる傾向や地域格差が再確認された。
『サンパウロにおける移住者のプロフィール』と題する報告書は、大サンパウロ市圏住民について出生地を基に分析した初めての研究だ。資料としたのは地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(PNAD)2009年版で、人口の3割を占める10大都市圏でみた結果、大サンパウロ市圏内の移住者は連邦直轄区に次ぐ高率である事が判明した。
調査の対象を30〜60歳の住民としたのは、雇用状態が安定し、州外に移住する可能性が少ないため。出身地別に毎週の就労時間や月収、学歴なども集計された。
大サンパウロ市圏に住む30〜60歳の人は810万人で、サンパウロ州生まれは54%の444万9187人。残る46%の州別出身地は、バイア11%、ミナス8%、ペルナンブコ7%、パラナ4%、セアラ3%、その他12%で、外国人も1%居る。
サンパウロ市には従来からバイア州出身者が多かったが現在は周辺にも広がり始めたというのは、サンパウロ・カトリック総合大学のルシア・ボルジェス教授。Ipeaのエルトン・エレリイ・アラウジョ研究員は、同州からの移住は地域格差が原因で、工業化が始まった1960年代から、よりよい仕事を求める人々の移住が始まったという。
その意味では、ペルナンブコやセアラその他の北伯、北東伯出身者も商工業の中心地なら仕事があると考えて移住した例で、これらの地域出身者は学歴も低く、平均月収は約1千レアル程度。
一方、2番目のミナス州や4番目のパラナ州出身者は、隣の州だからというのが主な理由で、平均月収は1500レアル位の中間層。それ以外の南東伯、南伯、中西伯出身者の平均月収は2千レアル程度だという。
大サンパウロ市圏住民全体の平均月収は1664・19レアルだが、平均月収が4千レアルと群を抜いている外国人は雇用主や自営業が多いためか、就労時間が週45時間超の人も58・2%と突出。月収2千レアル程度の人の割合も、サンパウロ州出身者の26%を大幅に上回る40%で、大卒以上の高学歴者も46%いた。
雇用主が3・3%と少ないバイア州出身者は、大卒者の割合も3・1%で北東伯の中でも最低。最も多い職種は家庭内労働で21・8%と最多。
大卒以上24・3%、高卒か大学中退40%のサンパウロ州出身者は、就労時間平均が33時間と最短で、30歳過ぎても親と同居する人も、セアラ出身者の1%より大幅に多い7人に1人。家族が近くにいる事による精神的な安定や支援の有無も、サンパウロ州出身者の学歴、収入に影響しているようだ。