ニッケイ新聞 2011年10月8日付け
ルノー/日産のカルロス・ゴーン社長が6日、リオデジャネイロ州南部のレゼンデ市に26億レアルを投資、新工場を建設すると発表したと7日付エスタード紙などが報じている。
2014年前半から「マーチ」などの戦略小型車の生産を始める予定で、既に、将来的に拡張させることを前提に建設される。「年間生産能力20万台の工場を建設しているわけではない。より大きいインフラを持つ工場になる」とゴーン氏はエスタード紙のインタビューに答えている。
また1日にはジウマ・ロウセフ大統領と会談、パラナ州サンジョゼ・ドス・ピニャイス市にあるルノーの自動車工場に15億レアルを投資して生産を拡大すると発表したばかりで、「中国、ロシア、インドなどで行ってきたように、日産は世界でも最も成長潜在力のある地域に投資を行っている」と述べた。
ゴーン氏によると、投資の決め手となったのは既に世界で4番目となったブラジル自動車市場の大きさで、リオデジャネイロ州を選んだのは、供給業者やサンパウロ市との距離、国道や港、空港へのアクセスが容易である点だという。
日産は現在、ルノーの自動車工場で2車種を生産している。しかし、新工場の建設によって、現在1・7%の国内シェアを4年後には最低5%に引き上げる計画だ。
また、2016年までには10車種の発売を予定しており、内4車種は大衆車といわれるリッターカー。内1車種は、ブラジル人スタイルのものであることをゴーン氏は約束している。
一方、ブラジル国内での電気自動車生産に向けた投資は排除したと話しており、「電気自動車の大量生産を行うためには、米国やフランス、英国で行われているように政府の支援が必要だ」とゴーン氏は説明した。
国内市場では大衆車が販売総数の多くを占めているが、アジアのメーカーとしては、中国の奇瑞汽車(チェリー)以外は、日産自動車が今月投入したメキシコ工場製の「マーチ」が同カテゴリ初の本格的な車種投入となっている。
トヨタやホンダ、韓国のヒュンダイ(現代)、中国各メーカーなども近年中に大衆車カテゴリのブラジル市場参入の計画があり、各国メーカーがしのぎを削る大市場になると推測されている。