ニッケイ新聞 2011年10月8日付け
中華民国(台湾)建国百年国慶酒会が5日夜、サンパウロ市の東洋街の台北経文所聖保羅文化中心(通称・客家センター)で開催され、コムニダーデの代表者や来賓ら約300人が慶祝した。式典の後には、民族衣装チャイナ・ドレスのファッションショーも行なわれ、記念すべき節目に華を添えた。
最初に陳宗賢(ちん・そうけん)在聖総領事が舞台上で両国旗に向き合い、国歌を斉唱し、「今年日本は未曾有の津波による大災害に見舞われた。台湾もいつその二の舞になるか分からない。決して人事ではない」と同情の意を示した。同国からは東日本大震災に100億円を越える義捐金が送られた。現在の難しい政治状況をふり返り、「必ずや乗り越えられると信ずる」と国連復帰に強い期待感をにじませた。
巴西聖保羅中華会館の関氷如(せき・ひょうじょ)理事長は、「辛亥革命から百年を祝う特別な日に、こんなにたくさんの友人が集まって祝えたことは素晴らしい。この歴史を子供達にしっかり伝えなくては」と語った。
コムニダーデを代表する企業IBRADEPのマウロ・リマ・ウー社長は、「台湾は島の地理的な名称、国の名前は中華民国だ」と前置きしながら歴史を説明した。
1971年の米ソ冷戦の最中、西側と東側諸国との間で政治的駆け引きが行われ、国際連合における「中国の代表権」が中華人民共和国に移され、中華民国は国連とその関連機関から脱退した。さらにジミー・カーター米大統領が中華民国と断交し、79年に中華人民共和国と外交関係を樹立したことにより、国際政治の狭間に陥った状況をふり返った。
「中華民国はアジア最初の共和国にして、アジアで最も産業の発展した国の一つに成長した。国として認められる三大要素は領土、国民、政府の全ての要件を満たしており、どこをも侵略することなく平和に暮らしている」と強調した。
ブラジル側来賓を代表して野村アウレリオサンパウロ市議は、「日に日に台湾系市民の存在は大きくなっている。市議会の名において、両市民がもっと緊密になり、さらに団結が進むことを願う」と賞賛した。
会場には羽藤ジョージサンパウロ州議、オーストリア国在聖総領事、リトアニア国総領事、コートジボワール総領事をはじめ軍警や連警代表も招待された。ファッションショーに続いて社交ダンス、菩提合唱団の歌が披露され、ケーキカットとなった。
本紙取材にブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長は、「台湾コムニダーデが出たいという限り、民族舞踊祭の参加枠は保証する」とのべた。
許樂静(きょ・らくせい)領事も、「台湾はいま難しい状況にある。みなさんの理解と支援が必要なときだ」と訴えた。
来場者のシウヴァーノ・ベネジッチさんは「偶然同じアパートに台湾の副領事が住んでいて友人になり、招待されてきた。立派な独自文化があることを強く感じた」との感想を述べた。その横にいた、移住45年という陳聰文さん(ちん・そうぶん)は「コムニダーデの外の友人にも祝ってもらえ、とても良い日になった」と喜んだ。