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アマパー=汚職で流れた金は10億レ=縁故採用や水増しは当然=しわ寄せは医療や教育に=床に横たわる救急患者も

ニッケイ新聞 2011年10月12日付け

 連邦警察が2010年9月にアマパー州で行った汚職摘発の「モンス・リンパス(きれいな手)作戦」から1年経ち、10年間で横流しされたのは最低でも10億レアルとの報告書が提出されたと9〜11日付エスタード紙が報じている。勤務実態のない幽霊職員や縁故採用、その他で公金が不正流用されたしわ寄せは医療や教育などの現場に出ているという。

 アマパー州と州都のマカパ市での汚職に関する報告書は2トン以上という膨大な量で、州会計検査院(TCE)の長を頭とし、政治家や企業家を巻き込んだ、歯止めのかけようも無い汚職の実態を描き出している。
 州としての経済力は弱く、州財政の7割は国からの支出に頼っているアマパー州で、少なく見積もっても10億レアルという金が不正に流用されたのは、監視役の会計検査院の長を始めとする要人を中心に汚職が行われていた事の裏返しだ。
 2001年から10年9月まで会計検査院の長を務めていたのは、元軍警司令官で、1990年代に2期連続で州議会議長を務めたジョゼ・ジュリオ・デ・ミランダ氏。汚職を扱いなれた連警でも我が目を疑いたくなる経歴の主だが、9日付エスタード紙によれば、同氏絡みの横領額だけで1億9千万レアル。
 自宅からは2002年に殺害された連警のサンドロ・ギリェルメ・デ・S・クーニャ氏の携帯していた拳銃が見つかり、貧困家庭の13歳と16歳の少女と性的関係を持っていた事を示す通話記録も残っている。
 本人や親族、架空人物などの名義で持つ不動産は100を超え、時価400万レの小型機やフェラーリの車なども有する同氏は、身柄解放後も、TCEや州政界への影響力を保っている。
 アマパー州とマカパ市での汚職は、TCEと議会を中心に蔓延。州議達が今年6月に旅費や秘書給与その他の必要経費として承認した額は月10万レアルで、下院議員の1万5千レアルやアラゴアス州議の3万9千レアルと比べても破格値だ。
 モイゼス・ソウザ州議会議長は、同州州議24人は広範囲の移動が求められ、秘書その他の職員も多数いるから、必要経費も高くなると説明するが、州議会は古いビルの中にあり、改修工事も2年間止ったまま。議員事務所は6人も入れば一杯で、駐車場には公聴会開催日でさえ7台の車しかなかったという。
 州の公的機関や議会などが結託し、妻や子供名義の企業と契約、相場の2760%もの水増し請求やバス会社の名を借りた資金洗浄といった汚職のしわ寄せは医療衛生や教育、福祉など広範囲に波及しており、マカパの救急病院では1日平均15件という交通事故の被害者や急病人が床に横たわり、空調も無い病室はまるでサウナ、医師や看護婦、医療機器の不足も歴然と報告されている。