サンパウロ市北部=爆発の危機で立ち退き=納得しかねた住民が抗議=市役所は排気口の設置を開始
ニッケイ新聞 2011年10月12日付け
サンパウロ州地方裁判所が7日、サンパウロ市北部の集団居住地シンガプーラ・ザキ・ナルチは地下に溜まったメタンガスが爆発する危機に直面しているとの州検察局の言い分を認め、住民3787人に立ち退きを命じた。一方、サンパウロ市役所は同判決に対し、再検討を申請中と11日付伯字紙が報じている。
サンパウロ州環境技術公社(Cetesb)が7月に同地区の空気を計測した結果、5%以上という高濃度のメタンガスが検出されていた。9月には、シンガプーラから1キロの所にあるショッピングセンター、センテル・ノルテが爆発回避用のガス抜き処置を怠っていたとして営業停止を命じられ、今月5、6日の2日間、一時的に閉鎖された。
裁判所の判決に納得しかねる住民らは10日、住居地前のザキ・ナルチ大通りで抗議を行い、ゴミを路上にばら撒いて火を放った。また、地下のメタンガスを排出するためのパイプを設置する工事中もアパートに滞在することを求める請願書に署名を集め、市役所と州検察局に届けた。
「私達は、ここから絶対にどかない。700もの家族が住んでおり、全員どかすのは不可能だ」と言うのは住民のロセメイラ・ルッシアさん(37)。「ここから追い出されれば、寝る場所もない。ここに長年住んでいるが、地下にガスが溜まっていると知らされたのは初めてだ」と話している。
サンパウロ市住宅局によると、直径80センチ、長さ2〜6メートルのパイプの設置工事は11日午前11時50分頃から開始されており、約20本の管が一日一本のペースで設置されるという。
ガス抜き用のパイプは10本ずつ繋がれ、二つの排気口から放出されるメタンガスを蓄積するためのコンテナも設置される予定だという。
また、今回の判決ではサンパウロ市役所に対して、20日間のうちに140のアパートにそれぞれメタンガスを計測することができる装置の設置が命じられており、期限内に行われなければ1日あたり10万レアルの罰金が課せられる。