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〃サンパウロ市国際映画祭の父〃=レオン・カッコフ氏逝く=タランティーノなどブラジルに紹介

ニッケイ新聞 2011年10月18日付け

 サンパウロ国際映画祭の創設者で、ブラジルの映画文化の発展に大いに貢献した映画評論家のレオン・カッコフ氏が脳腫瘍のため14日に死去。63歳だった。15〜16日付伯字紙が報じた。
 1948年、シリアのアレッポに生まれ、7歳の時にサンパウロ州トレメンベ市に移住。シリア在住の幼少期より映画に夢中になり、19歳の時に映画評論活動を開始。71年、新聞記事でカンヌ映画祭の特集を組んだ際、重要な映画作品が検閲によりブラジルに伝わっていなかったことに欲求不満を覚えた同氏は、74年にサンパウロ現代美術館の映画監修者となると、これまでブラジルで紹介されなかった世界の作品を紹介し、77年にサンパウロ国際映画祭を創設。開始当初18作品だった同映画祭は、近年では400本をも超える上映規模を誇る世界的にも大きな映画祭となった。
 同氏の功績としては、ブラジルに欧米の独立資本系の監督の作品やアジア諸国の名作の数々をいち早く紹介したことが挙げられ、クエンティン・タランティーノ、ヴィム・ヴェンダース、アトム・エゴヤン、マノエル・デ・オリヴェイラ、アッバス・キアロスタミなど、後に世界的な巨匠となる監督たちの作品を初期から紹介。ブラジルの映画ファンの批評眼に大きな影響をもたらした。
 「セントラル・ステーション」で知られるブラジルのバルテル・サレス監督も「サンパウロ国際映画祭は映画創作のための戦いの場であり、映画ファン共有の記憶として保存されるべき場でもある」と賛辞を送っている。
 カッコフ氏が夫人のへナータ・デ・アルメイダさんと死の直前まで着手していた、今年で35回目を迎えるサンパウロ国際映画祭は、21日から11月3日まで開催される。
 同氏の葬儀は15日から16日にかけて、エンブー・ダス・アルテス市の葬儀場で行われ、サンパウロ国際映画祭スタッフをはじめ、映画監督のフェルナンド・メイレレスや女優のアリーセ・ブラガら、多くの関係者がつめかけ、強い雨の降りしきる中、ビートルズの「レット・イット・ビー」をかけながら、カッコフ氏との別れを惜しんだ。

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