ニッケイ新聞 2011年10月18日付け
ブラジル政府が国内自動車産業を支援するために取った輸入車へのIPI(工業税)引き上げに対し、世界の主な自動車輸出国が保護主義的な措置だと抗議、世界貿易機関(WTO)に問題を提起したと15日付エスタード紙が報じている。
国内で景気減速への懸念が高まっている状況を受け、連邦政府は9月15日、メルコスル(南米南部共同市場)製部品を65%以上使っていない輸入車に対し、IPIを30%ポイント引き上げることを発表した。
WTOへの疑問を最初に呈したのは日本で、韓国がそれに同調。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアもIPI増税に反対の姿勢を見せた。彼らは、ジウマ政権はレアル高を理由に保護主義的措置を正当化させているとの不満を表明した。
ブラジルの措置に対する日本などの疑問提起は14日、WTOの市場アクセス委員会で行われた。これに対しブラジル政府は、措置は一時的なもの(2012年12月まで)で、「同措置によって貿易の流れは変わっていない」とコメントした。
また、今回の疑問はブラジリアへ持ち帰ると話した上、「IPI増税は最終的なものでもなく、保護主義的なものでもない」との財務大臣の発言を繰り返した。
同紙では、IPI増税が発表されてから、値上げ前の購入を急ぐ消費者によって、国内に工場を持っていないメーカーの輸入車販売台数が増加したことも報じている。
措置が発表された9月の販売台数は8月より10・5%増え、昨年同月比では90・8%増加。
輸入車の販売台数は既にブラジル自動車市場の5・6%に達し、IPI増税対象外であるアルゼンチンやメキシコ、ウルグアイの製品を合わせると、22・7%に達する。