ニッケイ新聞 2011年10月19日付け
アフリカ大陸を初めて公式訪問中のジウマ大統領が18日、第5回IBAS首脳会議に出席。11月3、4日にフランス、カンヌで開かれるG20首脳会議を前に、ブラジルとインド、南アフリカの3国が同一見解をとる事の必要性を再確認したと同日付アジェンシア・ブラジルが報じた。
17日に南アフリカ共和国に到着したジウマ大統領は、18日に同国の行政上の首都プレトリアでジェイコブ・ズマ大統領と会見後、第5回IBAS首脳会議に臨んだ。
IBASはインド、ブラジル、南アフリカの頭文字をとったもので、ジウマ、ズマ両大統領、インドのマニモハン・シン首相を頭とする3カ国の代表が出席。現地時間12時(ブラジリアでは午前8時)からの昼食会に続いて行われた首脳会議では、欧州を中心とした国際的な金融危機への対応や国際機関の改革などについて、積極的な意見交換がなされた。
17日の外相会議に続く首脳会議は、11月に持たれるフランスでのG20首脳会議に向けた下準備としての意味合いもあり、ジウマ大統領は、欧米中心に拡大した経済の混乱収拾には、新興諸国の役割が大切である事を強調。
先進諸国の保護貿易主義的政策が引き起こした通貨戦争に対抗し、新興諸国も含んだ危機解決への取り組みをと訴えたジウマ大統領は、G20では雇用や富の分配などに関する過去の見解にとらわれず、大局的な経済策が話し合われるべきで、IBAS3国が同一見解に立って、保護貿易主義を打ち壊す必要があると論じた。
今回のIBAS首脳会議の中心課題は債務不履行や景気後退への動きにどう対処すべきかといった経済危機問題だが、ジウマ大統領は会議後の会見で、国連安全保障理事会や国際通貨基金(IMF)、米州開発銀行(IDB)などの国際機関の改革問題にも言及。
国際的な経済危機の中でも、ブラジルは国内市場を強化し、雇用や所得の確保を行ってきたと自負するジウマ大統領は、後ろ向きの経済政策では危機や雇用不安からの脱却は不可能との持論を繰り返し、新興国の雄としてのIBAS3国が協調してG20首脳会議に臨む姿勢を確認した。
2003年は43億8千ドルだったIBAS3国の交易額は、2010年には161億ドルに拡大しており、2010年の目標だった150億ドルを大きく超過。
3国で作った基金は、04年の創設以来、ハイチやギニアービサウ、東チモールなど6カ国を対象とする9プロジェクトに資金を供出。今会議では、飢餓や貧困緩和に向けた協力関係の進捗状態も話し合われた。
ジウマ大統領らは、現地政府関係者や企業家、女性、小規模な起業家らによるフォーラムにも参加、モザンビークも訪問後、20日に帰伯する。