生きた患者の臓器を摘出=25年前の事件裁判始まる
ニッケイ新聞 2011年10月19日付け
サンパウロ州タウバテ市で17日、25年前、昏睡状態の患者から肝臓を摘出していたとされる医師3人の裁判が開始されたと18日付エスタード紙が報じている。
被告は泌尿器科医のペドロ・エンリッケ・M・トーレシルラス容疑者とルイ・ノローニャ・サクラメント容疑者、神経外科医のマリアノ・フィオレ・ジュニオル容疑者。
3人は、1986年9〜12月に同市サンタイザベル・ダス・クリニカス病院で、ジョゼ・ミゲル・ダ・シルヴァさん、アレックス・デ・リマさん、イラニ・ゴボさん、ジョゼ・F・カルネイロさんの4人の肝臓を摘出し、患者に死をもたらしたとして、殺人罪で起訴されている。
検察によると、患者は他の健康上の問題で昏睡状態にあり、家族から臓器提供への同意を得るため、〃脳死〃と偽の診断が出されていたという。
同病院のディレクターだった医師の通報で押収された患者のカルテや脳血管造影のレポートなどは専門家が分析。4人の患者は脳死と確定出来ない状態で臓器を摘出されたと結論づけられた。
裁判で最も期待されていたのは、当時病院で働いていた看護婦のリタ・マリア・ペレイラさんの証言で、彼女はカルネイロさんの肝臓摘出手術の一部始終を見たことを明らかにした。
「トーヒシルラス医師はメスを患者の胸に突き刺し、私に向かって『見たか、こうやるんだよ!』と話した」とペレイラさんは述べており、目撃した事実については他言せぬよう、別の医師から指示を受けたことも明らかにしている。
同紙によると、既に死亡した別の医師と被告の3人は地方ならびに連邦医学評議会によって無罪とされ、25年間自由の身で医師としての仕事も続けてきていたが、有罪判決が下れば、6〜20年の懲役に課せられる。