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スポーツ相に新たな疑惑=上下両院で弁明するも=軍警は証拠があると反論=大統領が同相の権限縮小

ニッケイ新聞 2011年10月20日付け

 【既報関連】15日付〃ヴェージャ誌〃が現スポーツ相のオルランド・シウヴァ氏もスポーツ省絡みの汚職に関与していたと報じた事で、事実解明を求める動きが活発化し、ジウマ大統領が2014年のW杯に関する権限をシウヴァ氏から取り上げたと19日付エスタード紙などが報じた。

 シウヴァ氏を巡る動きは17日以降止らず、18日にはサンパウロ州カンピーナス市に同氏が所有する土地にはペトロブラスの油送管が通っており、職権を利用した同氏が、将来は土地が値上がりするとの情報を得て購入したものではと騒がれるなど、スポーツ相を巡る疑惑は増すばかり。今後は検察庁、連警などの捜査も本格化する見込みだ。
 一方、自分は潔白だと主張し、17日に検察庁に捜査を依頼したりしたシウヴァ氏は、18日には下院の3委員会に赴いて弁明。19日には上院でも事情説明を行う。
 他方、〃ヴェージャ誌〃への情報提供者で軍警のジョアン・ジアス・フェレイラ氏は18日、上院の野党議員らに、2008年に検察などに情報を流さないための合意が成立し、6千レアルを受取った事などを話した。
 下院で弁明中のスポーツ相と並行する形でフェレイラ氏の証言を聞いた野党議員らによると、08年3月の会合にはシウヴァ氏も出席しており、事態収拾を図る事などを約束。少なくともこの時点で、シウヴァ氏が汚職について知っていた事は明らかで、不正な契約で金を受取っていた四つの非政府団体(NGO)から取りまとめた金を渡した運転手から、シウヴァ氏に金を渡したと聞いたとも証言したという。
 フェレイラ氏は、シウヴァ氏が汚職事件に関与していた事を示す物的証拠もあると話しており、19日付G1サイトは、下院も19日、同氏を召喚して供述を聞く事を決めたと報じている。
 一方、シウヴァ氏が所属し、同省絡みの汚職でNGOなどから振り込まれた金の半分を受取っていたとされるブラジル共産党(PCdoB)は、スポーツ相が辞任となれば、前任者で現在は労働者党(PT)所属のアギネル・ケイロースDF知事の立場も危うくなるとPT側に進言。シウヴァ氏温存とスポーツ省絡みで得ていた恩恵継続を間接的に求めたという。
 同省を巡る汚職事件に関してはアフリカを公式訪問中のジウマ大統領も神経を尖らせており、18日に2014年のW杯に関する一切の権限を大統領府に移行。
 シウヴァ氏が余りにもブラジルサッカー連盟(CBF)寄りの姿勢を示していた事と、FIFAの権限が強くなりすぎる事を嫌っていた大統領には、連警捜査も進む中で表面化したスポーツ省絡みのスキャンダルは渡りに船ともいえ、国際サッカー連盟(FIFA)の権限などを定めた法案承認を含む一連の項目は、大統領とグレイシー・ホフマン官房長官が取り仕切る事とした。