ニッケイ新聞 2011年10月22日付け
ブラジルの最高裁判所(STF)は20日、政府が9月15日に導入を発表した輸入車などに対する工業品税(IPI)の引き上げを12月中旬まで差し止める判決を下したと21日付エスタード紙が報じている。
判決は遡及的なもので、すでにIPIが上乗せされた価格で輸入車を購入した消費者は、裁判所に訴えれば過払い分の返還を請求することができるという。
判決は全会一致で、輸入車へのIPI増税は、公示後90日以降と定めた憲法の規定に従うべきだと判断した。
国内自動車産業支援のために取られた今回の措置は、メルコスル(南米南部共同市場)内製造部品を65%以上使っていない輸入車に対しIPIを30%ポイント引き上げるもので、これまで排気量別に最大25%だったIPI課税率は、最高で55%に達する。
増税策は既に国内やメキシコ、アルゼンチンなどに工場を持つフォルクスワーゲン(VW)やゼネラルモーターズ(GM)などに有利な一方、韓国や中国メーカーに対しては不利になる措置だ。14日には、日本政府を含む各国政府が、世界貿易機関(WTO)の市場アクセス委員会で懸念を表明している。