ニッケイ新聞 2011年10月22日付け
今に始まったことではないが、新聞界の不況は深刻さを強くするばかりなのは、何とも侘しい。活字王国の日本でも読者の減少は年毎に進み、広告の掲載も目にえて減っており、経営悪化の暗い道を重い足取りで歩んでいる。それでも、新聞発行部数では、世界のベスト10の7位までが日本だし、世界一の読売に続き朝日、毎日、聖教、日経となっており、10位にやっと中国の人民日報が登場する▼読売新聞は一時、1千万部を突破し、朝日を突き放したけれども、今は900万部ほどになったし、朝日も800万部がいいところだろう。紙を媒体とした新聞の不況は、これまで経験したことのない厳しい現実であり、何処の新聞社も、組織の改革と再編のあり方についても考慮しているようだが、昔のような活気を取り戻すのは極めて難しいのではないか▼共産党の「赤旗」も、日の出の勢いで部数を伸ばし、政治活動の大きな資金源だったのに—今や読者が少なくなり、あの革新的な特色ある記事も光彩を放つチャンスが無くなりつつあるのは寂しいし、発行の順位付けで聖教新聞が4位になっているのは、いささか驚く。あれは創価学会の機関紙だが、やはり—信仰の世界は強いと見ざるをえない▼アメリカのNYタイムズは本社を売却、仏の全国夕刊紙「ソワール」も廃刊と新聞不況は世界的な潮流だが、そんな厳しい環境の中で日本の新聞はまだ頑張っているけれども、やはりインターネットの情報は迅速性にとみ購読料も無料なのは最大の脅威であり、何らかの対策を急がないと欧米の二の舞を演じかねない。(遯)