ニッケイ新聞 2011年10月27日付け
統一医療保険システム(SUS)に加盟の医師たちが25日、ストを開始し、サンパウロ州を含む全国21州のSUS関連の病院で医療業務が停止された。26日付で伯字紙が報じた。
今回のストは連邦医師審議会(CFM)、ブラジル医師協会(AMB)、全国医師連盟(FENEM)との連携の下で行われ、医師たちは労働環境の改善や給与待遇の見直しをSUSに求めていく。
エスタード紙は、SUSの医師への報酬の低さを、内科、小児科、婦人科の診療が1回につき2・5レアル、子宮の内視鏡検査が3・38レアル、チーム作業である帝王切開手術が150・05レアルなどと例をあげて指摘。また、保険プランに参加する医師の報酬がここ数年で150%引き上げられたのに対し、SUSでの報酬は50%以下の調整に止まっているとも報じている。
今回のストを実施した医師たちは、医師たちのSUS離れを防ぐため、週20時間勤務の場合の最低月給を1942・91レアルから9188・22レアルに引き上げることなどを要求している。ただ、SUSのストは4月、9月と、今年に入って既に2度実施されていることから、SUS側の改善が容易でないことがうかがえる。
ストの規模は州によって違いがあり、バイーア州のように200の医療機関で31日まで実施されるケースまであるが、サンパウロ州ではエミリオ・リバス、ホスピタル・ド・セルビドール・プブリコ・エスタドゥアル(HDSPE)、ホスピタル・ダス・クリニカス(リベイロン・プレット市)の3病院で実施された。HDSPEはSUS関連の病院ではないが、今回のストの意義に所属医師の大半が賛同しての自発的な実施であるという。
今回のストに対し「医師の待遇改善にとって重要」と見る向きもあるが、その一方で、ストを理由に予定されていた手術を受けられなかった高齢者や自宅に戻らされた妊婦などからの苦情も多いなど、問題点も露呈している。なお、このストは31日までをメドに進められる予定だという。