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交通事故の死者4万人超す=バイクの増加が一因か=飲酒運転多発も懸念材料=チャイルドシートで効果も

ニッケイ新聞 2011年11月2日付け

 2010年の全国の交通事故による死者は過去15年で最悪となる4万610人に達し、負傷者も14万6千人と10月29日付フォーリャ紙が報じた。

 保健省によると、昨年の交通事故による死者は前年比8%増の4万610人、負傷者は15%増の14万6千人。飲酒運転禁止法(レイ・セッカ)施行で減った被害者が再び増加しており、毎日111人死亡という数字は少なくとも過去15年間で最悪の結果だ。
 交通事故の増加は、市場に出回る車の数や運転者の増加などからも容易に推測できるが、死者最多はバイクで走行中の1万134人。市場に出回るバイクが1年で12%増えた事もあり、2008年以降、8898人、9268人と3年連続して増加中で、昨年の死者数も、歩行者の9078人や車で走行中の8659人を上回っている。
 一方、主要道路の制限速度を下げ、歩行者保護キャンペーン実施中のサンパウロ市では交通事故による死者が減っている事や、レイ・セッカ完全施行の2009年の死者は前年の3万8300人より少ない3万7600人だった事からも判るように、交通事故の原因の8割は人為的なもの。
 交通事故による死者が09年比3016人増との結果から、取締まりが緩んだのではないかと懸念されている飲酒運転では、10月30日付エスタード紙が、飲酒運転で死亡事故を起こして殺人罪に問われる例が、今年のサンパウロ市では既に16件発生と報道。
 この数字は飲酒者が増えた結果として事故も増えている事を反映しており、サンパウロ市では、10月18日までに飲酒運転で捕まった人が昨年同期比32%増の1167人。飲酒後も運転する人は若者に多く、殺人罪に問われた16人中9人は19〜29歳だった。
 また、サンパウロ市の検問で呼気中のアルコール量測定を拒んだ人は10月18日までに702人で、昨年の総計593人を既に上回った。この傾向はリオでも同じで、今年の測定拒否者1万2600人は、昨年の1万2096人を既に超えている。
 飲酒者が増えているとの印象は取締りの警官が共通して持っており、保健相もレイ・セッカ厳重化を支援する所存だ。
 一方、10月30日付フォーリャ紙によれば、昨年9月に子供用の椅子(チャイルドシート)使用が義務化された事で、今年上半期の7歳以下の子供の交通事故死は、昨年上半期の68人より41%少ない40人。8〜12歳の死者が10・6%増えたのは、前部座席に座ったりシートベルトを着用していなかった事などが原因と見られている。
 居眠り運転やスピード違反も事故原因の一つだが、交通事故の8割が人為的な原因で起きているなら、車や人口が増えても事故や被害者を減らすような対策を講じ、世界有数の交通事故発生国の汚名返上を図るべきだ。