ニッケイ新聞 2011年11月4日付け
2001〜04年のサンパウロ市市長でもあった、労働者党(PT)のマルタ・スプリシ上院議員が、来年のサンパウロ市市長選挙への出馬を断念したことが明らかとなった。同氏の出馬にはかねてからルーラ元大統領が難色を示していたが、10月31日にジウマ大統領から直々に懇願され、今回の決定に至った。2日付エスタード紙が報じた。
ジウマ大統領とマルタ氏の会談は、コンゴーニャス空港の大統領専用機の中で数時間に渡り行われた。会談後、入院中のルーラ元大統領と面会したジウマ大統領は、同日夜、G20会議出席のため、仏国のカンヌに向けて飛び立った。
ルーラ、ジウマの両氏は、10月24日にマナウス市制342周年記念式典に共に出席した際にもマルタ氏の出馬について話し合い、2008年の市長選に敗れて以来、党内でも孤立状態だったマルタ氏では多くの票を獲得するのは難しいとの判断となった。
以前より、「ルーラ元大統領を敵に回してまでも出馬するつもりはない」としていたマルタ氏は、大統領からの説得に折れる形となった。
だが、マルタ氏は全面的に納得したわけではないとされるため、ジウマ大統領の次の課題は同氏の名誉を傷つけない形でいかに次のポストを準備するかにかかっている。マルタ氏は教育大臣の座を視野に入れていると言われているが、来年改革が行われるとみられる文化省の大臣職、または現在マルタ氏が副議長をつとめる上院の議長職などを用意する可能性があると見られている。
これにより、ルーラ元大統領の推薦で党内の支持も急速に伸び、先に行われたサンパウロ市市長候補者に対する予備調査において60%の票を獲得していたフェルナンド・ハダジ現教育大臣が、労働者党からの最有力候補者との見方が強まっている。
また、これを受けて、労働者党内でサンパウロ市長選への出馬の意向を表明している、ジウマール・タット氏、カルロス・ザラッチー氏、マルタ氏の夫でもあるエドゥアルド・スプリシ氏に対する同党の対応も注目される。