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飲酒運転は犯罪と最高裁=事故の有無に関わらず=危険運転致死適用も増加か=賠償責任問われる運転手

ニッケイ新聞 2011年11月5日付け

 最高裁判所が2日、飲酒運転は事故の有無に関わらず犯罪との判決を下したと3日付エスタード紙が報じた。また、4日付フォーリャ紙によると、3日には国立社会保険院(INSS)が、重大事故を起こした飲酒運転者に遺族への賠償責任を課す事を求める裁判に入っている。

 2日の最高裁判断は、2008年の飲酒運転禁止法(レイ・セッカ)発効後の飲酒後の運転は危険運転や事故の有無に関わらず犯罪行為との考えを再確認。これにより、検問で捕まった運転手が何の懲罰も受けず釈放される例もあるなど、司法側の理解に温度差が見られていた点も改善されるはずで、事故や死者の削減も期待される。
 レイ・セッカは、酒気帯び運転や飲酒運転の基準を厳しくすると共に、国道沿いの店やレストランでの運転者向けの酒類販売禁止など、酒を飲んだ後、ハンドルを握る行為を減らすための文面も含む法律だ。
 このため、同法施行後は、バールやレストランなども、飲酒後の運転者の車を預かる、タクシー利用を促すなどの支援策を提供。取締り強化とあいまって、交通事故死者が減少した事は保健省統計からも明らかだ。
 ところが、従来は事故や危険運転で捕まらなければ犯罪ではなかったため、同法施行後も司法側が容易に釈放するなど、現場の対応に温度差があり、飲酒後に運転する事への抵抗感が薄れ始めていたのが現状だ。
 そんな折りに出た飲酒運転は犯罪との最高裁判決は、従来は過失致死傷とみなされてきた飲酒運転による事故に、故意の危険行為による死傷罪である危険運転致死傷を適用する例が出てきた事を後押しする。
 また、交通事故で家計の責任者を奪われたり、障害のため働けなくなったりした人々への扶助や年金の支払いは年80億レアルに上っており、事態を重く見た国立社会保険院が3日、重大事故の運転者に賠償責任を求める訴訟を起こした。
 最初の訴訟対象となったのは08年に連邦直轄区で起きた事故で、酔ったまま運転しようとするのを見た友人達が危ないと止めたのに、「このスリルが好きなのさ」と答えて走り出したという運転手は、別の車と高速で正面衝突し、同乗者を含む死者5人、負傷者3人の事故を起こした。
 未亡人となった女性の一人が社会保険院から受取った遺族年金は9万820レアルだが、社会保険院側は、33歳で2人の子供を抱えた女性が今後受取る分も含めた100万レアルは運転者が払うべきだと申立てた。
 社会保険院では飲酒運転やスピード違反などの危険運転全てを今後の訴訟の対象とする方針で、最高裁判断共々、少々飲んでも運転できるし、検問だって簡単には引っかからないと考える若者には考え方を変える好機到来だ。近年急増のバイクも含め、ハンドルを握る者の責任は重い。