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ニッケイ法律相談=その9=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2011年11月5日付け

 質問=14歳になる息子がいるのですが、その息子が私の車に勝手に乗り、人身事故を起こしました。他の車にぶつけて、その車の運転手に怪我をさせたのです。警察から呼び出されたのですが、私の知らない間に勝手に車に乗ったのですから、私には罪は無いのでは。
 回答=まず、民法では全面的に親であるあなたの責任です。怪我をさせた相手に、相手が保険に入っているかどうかは別として、損害賠償を支払わなければなりません。
 そして刑法でも罪に問われます。車は、言わばピストルと同じで子供にとっては武器になります。息子さんはどうして車に乗ることができたのでしょうか。もし彼の手の届く、目に付きやすいところに鍵を置いたなら、あなたの責任です。
 まず罰則として、運転免許証から7点引かれます。そして、半年から一年間刑務所に入るか、罰金を支払うか、いずれかになるでしょう。相手の負傷程度などを鑑みて、裁判所が判決を下します。
     ◎
 質問=3ヵ月から半年ほど、外国に旅行したいと考えています。17歳になる子供がおり、旅行中に家のことを任せたいので、委任状を作成しようと思うのですが、どのような方法があるでしょうか。
 回答=16歳以上の子供には、cartorioでの手続きで成人の資格を与えることができます。手続きに弁護士は不要です。これをemancipacao(未成年に対する開放、親権の解除)と言います。
 その手続きを行えば、委任状を渡し、安心して旅行することができます。
     ◎
 質問=夫が家を出て、4年間帰ってきておらず、行方不明です。生活に困っているので、所有している不動産を売りたいのですが、夫がいないために売ることができません。どうすればよいでしょうか。
 回答=「時効取得」(usucapiao)と言って、誰にも文句を言われず10年間同じ土地に住んだ場合、所有権を獲得できる権利が認められています。あなたにも、この権利が発生します。
 ただし、夫婦間、あるいは夫婦同然の生活を営む男女間の場合は特別の法律があり、通常は10年のところが2年で時効取得が認められます。ただし条件として、物件の総面積が250平米以下で、別の不動産の所有者でない場合に限られます。
 したがって、その旨を裁判所に説明されると良いでしょう。通常は売却の権利が認められるまで数年かかりますが、この場合は速やかに処理されると思います。4年も不在ということは、ご主人は既に所有権を放棄されたことになります。
質問は日本語でもポ語でも可。質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。