ニッケイ新聞 2011年11月8日付け
質問=家の前に木があり、邪魔になるので剪定しました。すると市役所から、「許可なく剪定した」として罰金の支払いを要求されました。そんな法律があるとは知らなかったのですが、違法になるのでしょうか。
回答=結論から言うと、違法になります。市役所の許可無く、勝手に剪定してはいけません。
必要なら市役所に剪定を申請すれば、専門業者が来ます。ただ、サンパウロ市の場合、申請から実際の作業までは数ヵ月を要します。
自分の土地ではない場所に植えてある樹木は、切り倒すのはもちろん、勝手に剪定することは禁じられています。
また、環境保護の観点から、自分の土地、例えば庭などに生えている比較的大きな樹木は、剪定はできますが許可なしで勝手に切り倒すことはできません。例えば農業で必要な場合でも、樹木を切り倒すことが禁じられている地域もあります。
私たち一人ひとりが、個人の利益よりも「社会」を考えることが必要な時代になってきています。「自分のものだから何をしても良い」という主張が通用しなくなってきているのです。
残念ながら、法律の存在を「知らなかった」という理由で責任逃れはできません。罰金を支払うほかは無いでしょう。
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質問=夫と別居して数年になります。子供はおらず、財産もありません。別の人と再婚したいので、まずは離婚しなければならないと思うのですが、どうすればよいでしょうか。
回答=1年以上別居しているなら、その証拠を弁護士に提出すると1ヵ月ほどで離婚ができます。証拠書類がない場合は、親戚や友人など証人となる人とともに、弁護士に依頼してください。
ちなみに未成年者の子供がいる場合は、cartorioではなく裁判所で手続きする必要があります。
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質問=離婚して、現在前妻に毎月1ヵ月の最低賃金を払っています。今は別の女性と、籍は入れず同棲生活を送っていますが、その女性とも、協議の結果別れることになり、生活費を送ってほしいと言われています。裁判所からも支払い命令がきています。結婚はしていませんし、2人の女性に生活費を送るのは経済的に困難なのですが、支払うべきなのでしょうか。
回答=結論から言うと、支払わなければなりません。結婚している、していないに関わらず、夫婦同然の同棲生活を送っているなら、その女性は結婚相手とみなされます。
生活費の問題は急を要するため、その裁判所の判決は「予備判決」(liminar)でしょう。もし経済的に支払うのが困難だということを証明するものがあれば、公判のときに「支払う必要はない」という判決が出ると思います。
既に離婚した前妻に生活費を払っているといっても、2度目の夫婦生活を始めたからには、失敗する可能性があるという覚悟を持つべきだったと思います。酌量の余地はありません。
質問は日本語でもポ語でも可。質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。