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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年11月8日付け

 米経済誌の「世界で最も影響力のある70人」によると、トップはオバマ大統領で2位がプーチン首相。3位が中国の胡国家主席となり、我が野田首相は67位と下から4番目というのは、いささか情けない。まあ—大震災と福島原発という難問を抱えているし、円高という魑魅魍魎もどきの化け物が跋扈し、家電を始め大企業も零細な町工場も「助けて呉れ」と悲鳴をあげているのだから—総理大臣殿の評価が下落するのも致し方ない▼兎に角—国際的な人気はかなり低い。フランス・カンヌのG20首脳会議に颯爽と出発したけれども、どうも各首脳らの扱いはなんともそっけない。それでも—野田首相は、こんなに冷たい雰囲気をぶち壊そうとばかりに「消費税を10%値上げします」と一席ぶち、投機筋の仕業で「円高」とぶちまくったが、首脳たちの反応はさっぱり▼そんなアジアの国のことなど—とばかりに「ギリシャだ」「ユーロを守れ」の大合唱が会場に木魂し、野田節に耳を傾ける欧米や新興諸国のお偉さんはいない。眞に残念ながら、これが国際政治の生々しい現実の実態であるのを忘れまい。国際会議というものは、国の利益を賭けた「弁舌の戦い」なのであり、甘いセンチメンタルだけでは、国家的な損失を招くのは必定である▼もっと悪いのはホストのサルコジ大統領との会談も実現しなかったし、オバマ大統領ともなし。中国の胡国家主席とは、廊下で—わずか5分だけの立ち話。これではとても「話し合い」とは申しかねる。さながら「政治は力」の舞台を見るような気持ちになったのは、何とも遺憾至極—である。(遯)