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大学・大学院=学生総数が600万人超す=10年で110%の増加=北部や北東部の伸び目立つ=初・中等教育の充実が課題

ニッケイ新聞 2011年11月9日付け

 教育省が7日、2010年に国内の大学や大学院で学んでいた学生は637万9299人で、2001年比110・1%増と発表したと7日付G1サイトや8日付エスタード紙が報じた。

 2010年の高等教育機関の学生数は2001年の倍以上との数字は期待以上の伸びで、国家教育計画の高等教育目標値は後10年で達成できる見込みだという。
 国家教育計画が掲げる高等教育の目標は、高等教育機関に在学する学生総数を18〜24歳の人口比50%以上にするというもの。学生総数には25歳以上の人も含まれるため、この年齢層の学生数とは一致しない。昨年の場合、学生総数は先の年齢に属する人口の34・4%に達したが、実際に18〜24歳の学生は同年齢の人口の17%だという。
 学生総数が18〜24歳人口の50%という目標はチリやアルゼンチンの現状以下で、ブラジルの高等教育普及率は決して高いといえないが、関係者の期待を上回る学生数の伸びは、通信教育(遠隔地教育)と技術コース受講生の増加が原因だ。
 10年前は皆無だった通信講座は、教材や授業の質にバラつきがあり、労働市場での卒業生受け入れなどで問題が生じる例もあるが、昨年の通信コース受講者は全体の14・8%に上る約100万人。内訳は、学士号取得28・8%、免許取得45・8%、技術習得5・3%で、大学院は未だ0%。これに対し、通常コースの学生は、学士号取得72・6%、免許取得17%、技術習得10%、大学院0・3%となっている。
 一方、公立の高等教育機関の学生164万3298人に対し、私立は473万6001人。学部生は公立25・7%に対し私立74・3%だが、大学院では83・5%対16・5%と、その比率が逆転する。
 また、2377の教育機関は、公立11・6%対私立88・4%だが、講座数は2万9507の内31・3%が公立で開講だから、公立校の方が大学院もある総合大学が多い事がわかる。また、連邦大学定員は10年で86%、州立大学定員は同66%増えている。
 地域別では、南東部が48・7%と圧倒的に多く、以下、北東部19・3%、南部16・4%、中西部9・1%、北部6・5%。01年は、南東部51・7%、南部19・8%、北東部15・2%、中西部9・1%、北部4・7%だから、10年間に学生が128・5%増えた北東部が南部の学生数を上回った事になる。比率では最低の北部は、学生数が10年で148・3%増え、伸び率では最高となった。
 国連が人間開発指数算定の基準とした平均就学年数が、開発指数が似た国の13・8年を大きく下回る7・2年というブラジルだけに、高等教育の質向上と共に、初等・中等教育の充実と退学率低減への努力が必要だ。