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4年で34万冊消えた=サンパウロ市の図書館の現状
ニッケイ新聞 2011年11月9日付け
サンパウロ市が運営する70の図書館ならびに図書施設において、2006年〜2010年の4年間に34万7千冊もの本が紛失したと、8日付エスタード紙が報じている。
同紙によると、2006年には288万冊あった本が253万冊にまで減少したという。これは全体の12%を失ったことを意味する。図書館によっては、サンパウロ市最古の図書館であるマリオ・デ・アンドラーデのように2万1千冊在庫を増やしたところもあるので、それ以上の本が紛失していることとなる。
その主な理由としては、(1)本の保管状態の悪さによる処分(2)利用者の長期延滞(3)洪水など、不慮の事態での喪失、という3点があげられる。特に、貸し出した本未返却の問題は深刻で、15日間の貸し出し期間を超えた利用者に催促の手紙を出してもその効果は15%以下だという。
また、図書施設の利用自体が減少しているのも、こうした杜撰な図書運営の原因になっていると指摘するものも少なくない。事実、施設を利用するのは、高齢者か小学生の子供とその親がほとんどという図書館もある。また、開館時間が平日の朝8時〜夕方5時と短い場合も、図書館の利用が制限される原因になると指摘されている。